日常的に自動車を運転する人にとって避けて通れないリスクのひとつが「交通事故」だ。自分が細心の注意を払って安全運転に努めていても、周囲のドライバーの不注意などで「もらい事故」に巻き込まれてしまうこともあるだろう。そんな、自分の過失の割合が低い事故の際に、ドライブレコーダーの設置の有無で慰謝料の金額に差が生まれることが判明した。
今回は、ドラレコの有無でどれだけの違いが出るのかなどをお伝えしていきたい。
ドラレコを設置していると、なしの場合より平均11万円も慰謝料が高い結果に
2022年1月4日に警察庁が発表した統計表「交通事故発生状況の推移」によれば、2021年の交通事故発生件数は30万5,425件。1日約837件、2分に1件以上のペースで発生していると考えると、どれだけ交通事故が身近なものかわかるだろう。
そんな交通事故について、弁護士法人・響が運営するメディア「交通事故慰謝料ガイド」は1月5日、全国の交通事故被害に遭ったことのある20歳以上の男女1,000人(過失割合が4割以下)を対象に実施した「2021年 ドライブレコーダーと交通事故の慰謝料に関する調査」の結果を発表した。
その内容によれば、交通事故の被害に遭った際に保険会社に提示された慰謝料(車の修理費・治療費などを除いたもの)は、回答全体で「ドラレコあり」が平均43万円、「ドラレコなし」が平均32万円という結果となった。
ドラレコの有無で11万円の差が生まれた理由について、「慰謝料の算定に、ドライブレコーダーが直接影響することは考えられません」としつつ、「『事故状況』をしっかり立証できる証拠があれば、結果として適切な慰謝料が出ることにつながることを示唆しています」と解説している。
また全体の平均では11万円の差だが、「病院にかかった期間別の慰謝料の平均額」を見ると、通院期間が「1カ月未満」の場合は1万円しか違わないものの、調査の中で最も長い「7カ月以上」では「ドラレコあり」で344万円、「ドラレコなし」では127万円と、200万円以上の差が発生している。これを見ても、ドラレコの設置がいかにドライバー自身を助けることになるかがわかるだろう。
実際に、回答者の中でドラレコを設置していた人のうち「交通事故の際にドライブレコーダーが役に立った」と回答した人数は88.5%にのぼり、事故当時ドラレコを設置していなかった人も17.6%が事故後にドラレコを購入したという。
都市部に住んでいて自動車を運転することの少ない人には縁遠い話かもしれないが、マイカー通勤が一般的な車社会の中で暮らす人々にとって交通事故は「明日は我が身」だ。数万円の出費を嫌がって何かあったときの11万円をフイにするのはむしろ損とすら言えるのではないだろうか。
みなさんも、自身や遠方に暮らす親族でドラレコをつけずに運転している人がいたら教えてあげるべきなのかもしれない。
出典元:交通事故慰謝料ガイドは→こちら
出典元:弁護士法人・響は→こちら
※サムネイル画像は(「写真AC」より引用)