2021年12月時点で39.9%しか普及していない「マイナンバーカード」。2022年1月からはマイナポイント第2弾もスタートしたので、もう少し取得率も高くなると思われるが、実はマイナンバーカードは若い男子よりも60歳以上のおじさんのほうが取得率が高いのをご存じだろうか? でも、どうしてデジタルネイティブな若者ではなく、アナログなおじさんのほうが取得率が高いのか? ここでは若者には分からない納得の理由を考察してみよう。
そもそもマイナンバーカードはどうして普及しないのか?
2022年1月からマイナポイント第2弾もスタートして話題となっている「マイナンバーカード」だが、総務省のデータによると、2021年12月1日時点での交付枚数は約5,057万枚で交付率は39.9%である。
マイナンバーカードは、顔写真付身分証明書として使えるほか、今後は健康保険証や運転免許証代わりとして使えるようになるが、現状ではさほどマイナンバーカードを発行する必要性を感じられないので、普及率がなかなか上がらないのも分かるだろう。
だが、年齢別の交付率を見てみると面白いことが分かる。実は、マイナンバーカードはデジタルに強いはずの若い男子よりも、アナログな60歳以上のおじさんのほうが交付率が高いのだ。これはいったいどういうことなのか? そこには若者には分からない納得の理由があった!
男女とも60歳~74歳の交付率が高いのはなぜ?
マイナンバーカードの交付率は総務省の「マイナンバーカード交付状況」で、その詳細が分かるようになっている。
そのなかに「年齢・男女別項目」があり、これをグラフ化したBAD オープンデータ供養寺「マイナンバーカード普及状況ダッシュボード」で確認すると、年齢別の交付率が視覚的に把握できるのだ。
たとえば、20歳~29歳の若い男性の平均は37.6%なのに対し、60歳以上の男性平均では49.1%と、11%以上も高くなっている。逆に女性の場合は25歳~34歳の交付率も高くなっているが、これはおそらく結婚や出産に関係があるのだろう。
いずれにせよ、マイナンバーカードは男女ともに60歳~74歳の交付率が非常に高くなっており、ここに何かヒントが隠されていそうだ。
実はマイナンバーカードは高齢者のメリットが大きい!
年齢別の普及率を見ていると、男女とも60歳~74歳の普及率が非常に高いのが分かった。これにはきっと何か理由があるに違いない。
そこで、筆者は高齢者にとってマイナンバーカードを取得するメリットを調べてみたところ、実は若者に比べ、高齢者のメリットはかなり多かったのである。
まず、銀行口座や証券会社口座の開設、パスポートの申請、携帯電話、フィットネスクラブの入会など、身分証明書の提示が必要になる場面は多いが、高齢になって運転免許証を返上したときに、マイナンバーカードが顔写真付身分証明書として役立つ。
次に、介護保険の届出・申請にはマイナンバー(12桁の数字)の記載が必要になる。12桁のマイナンバー自体は紙の「通知カード」や「住民票」でも確認できるが、マイナンバーカードがあったほうがスマートだ。
もっとも大きいのは60歳で会社を退職したときだ。退職後は会社の年末調整が受けられなくなり、確定申告をしなければならない人もいる。そんなとき、マイナンバーカードがあれば、e-Tax(国税電子申告・納税システム)で簡単に申請できるだろう。
もちろん、会社を退職すると協会けんぽ等から国民健康保険に切り替えることになるが、手元に健康保険証がない切り替え期間に健康保険証代わりにマイナンバーカードが使えるのも便利だ。
さらに、60歳を過ぎると年金の相談で年金事務所に出向いて相談する場面も出てくる。日本年金機構ではマイナンバーで本人確認が可能なので、スムーズに年金相談・照会ができるし、マイナンバーによる各種申請なども行えるので、やはりマイナンバーカードが欠かせないのである。
いかがだろうが? 若者にはあまりメリットが感じられないマイナンバーカードも、中・高齢者では意外とメリットが多いことがお分かりいただけたと思う。
もちろん、若者でもマイナンバーカードがあれば住民票や印鑑証明書の取得が、コンビニのマルチコピー機で簡単できるようになる。
車やマンションの購入、引っ越しや結婚、就職などで住民票や印鑑証明書が必要になる場面も多いので、それだけでもマイナンバーカードを取得するメリットはあると思うが、いかがだろうか?
●総務省「マイナンバーカード交付状況(令和3年11月1日現在)」は→こちら(PDF)
●BAD オープンデータ供養寺「マイナンバーカード普及状況ダッシュボード」は→こちら