会社員なら厚生年金に加入しているはずだ。毎月の給与から保険料を引かれるのは知っているが、ボーナスからも保険料は引かれているのだろうか? 将来もらえる年金額に何か影響があるの? この春から就職する社会人なら、そのあたりが気になっているかもしれない。そこで今回は、ボーナスと厚生年金について詳しく解説しよう。
まずは厚生年金の基本をおさらいしよう!
この春から社会人となって会社に就職する人も多いことだろう。会社に就職すると厚生年金に加入することになり、毎月の給与から保険料が天引きされることになる。
しかし、多くの会社で年2回支給されるボーナスから保険料は引かれるのだろうか? またその場合、将来もらえる年金額がどう変わるのか疑問に思っている人も多いことだろう。
そもそも日本の年金制度は、よく“2階建て”と呼ばれている。まず、1階部分に相当するのが「国民年金」だ。これは日本に住む20歳以上の人なら全員が加入しているもの。
これに対し、2階部分が「厚生年金」と呼ばれるもので、公務員や会社員などが国民年金に上乗せして加入している。
厚生年金は給与によって保険料も変わるが、会社が保険料を半分負担してくれるので、将来もらえる年金額も当然国民年金だけの人よりも多くなるのである。
厚生年金の基本については→こちらで詳しく解説しているので、確認してほしい。
ボーナスからも厚生年金保険料は天引きされる!
厚生年金の基本が分かったところで、本題に入ろう。まず、毎月の給与からは、住民税や所得税、雇用保険料のほかに、厚生年金保険料と健康保険料が天引きされる。40歳以上になるとさらに介護保険料も引かれているはずだ。
厚生年金保険料は令和3年度の 協会けんぽ(東京)の場合、標準報酬月額(給与)×保険料率(18.3%)が天引きされている。標準報酬月額には1等級~32等級まであり、等級が上がればそれに合わせて標準報酬月額も上がる仕組みになっている。
したがって、給与が高い人ほど多くの厚生年金保険料を天引きされていることになる。とはいえ、厚生年金保険料は会社が半分負担してくれるので、アナタが負担する保険料は18.3%の半分だけなのだ。
もちろん、ボーナスにも保険料はかかるので、ボーナス額×保険料率(18.3%)が、支給されるボーナス額がからガッツリ天引きされることになる。
ボーナスが多いと将来もらえる年金額も上がる!
会社員で厚生年金に加入している人は、同時に国民年金にも加入していることになる。したがって老後には「老齢基礎年金」(国民年金)と「老齢厚生年金」(厚生年金)をもらうことができる。
つまり、国民年金しか加入していない個人事業主やフリーターより、基本的に会社員のほうが、将来、より多くの年金をもらうことができるのだ。
ちなみに、国民年金の保険料は収入に関係なく、1カ月1万6,610円(令和3年の場合)を支払うが、保険料を支払った期間によって、将来もらえる老齢基礎年金額が変化する仕組み。
これに対し、厚生年金のほうは給与やボーナス額に応じた厚生年金保険料が引かれるので、給与やボーナスが多い人ほど、将来もらえる老齢厚生年金額も多くなるというわけだ。
なお、年金加入者には毎年「ねんきん定期便」が送られてくるが、年金の加入状況や将来もらえる年金額についての記載もあるので、見ないまま捨てたりせずに必ず中身をチェックしよう。ねんきん定期便については→こちらで詳しく解説しているので確認してほしい。
いかがだろうか? 会社から支給されるボーナスからも厚生年金保険料はしっかり天引きされている。
しかし、厚生年金には国民年金も含まれているし、会社が保険料の半分を負担してくれるので、基本的に個人事業主やフリーターより会社員のほうが将来もらえる年金額が多くなるのがメリットだ。
ただし、なかには厚生年金保険料を給与から天引きしているのに、徴収した保険料を実際には納付していない悪質なブラック企業も存在する。
「ねんきん定期便」には保険料納付状況が記載されているので、就職したのはいいものの「この会社ちょっとヤバくない!?」と感じるなら、なおさらねんきん定期便で確認しておくべきだろう。
●全国健康保険協会「令和3年度保険料額表(令和3年3月分から)」(公式)→こちら
※サムネイル画像は(「写真AC」より引用)