普通のサラリーマンがマンションを買うときは、35年ローンを組むことが多い。だが、完済するのに70歳までローンを払い続けるのは難しいはず。そんな不安があるなら繰り上げ返済を検討してみよう。今回は住宅ローンの繰り上げ返済の方法と注意点について解説する。
ローン完済期間を短縮する方がお得!
(Image:Shutterstock.com)
住宅を購入するとき、銀行から数千万円を借りて35年ローンを組む人が多い。現在の金利は史上最低になっているが、35年ローンでは金利もバカにならない。それ以上にローン完済時の年齢が70歳以上となると不安になるだろう。そんな人におすすめなのが住宅ローンの繰り上げ返済だ。
まず、繰り上げ返済は残金を全額返済する場合とローンの一部を返済する場合がある。ほとんどの人は全額返済することは難しいので、ここでは一部返済の話をしよう。一部返済の場合は、返済金額を変更せずにローン期間を短縮する「期間短縮型」と、ローン期間はそのままで月々の返済額を少なくする「返済額軽減型」が選択できる。もし、35年ローンで70歳まで支払いがあり、将来も安定した収入が見込める人なら「期間短縮型」がおすすめ。逆に子どもの養育費用などで月々の返済が厳しい人は「返済額軽減型」を選ぶとよい。とはいえ、基本的には「返済額軽減型」より「期間短縮型」のほうがトータルでの軽減額が大きいので、期間短縮型を選ぶ人のほうが多いようだ。
■繰上返済の方法で軽減額は大きく異なる
借入額:2,000万円(ボーナス返済なし)
金利:1.345%
返済期間:35年
繰上返済時期:10年後
繰上返済額:500万円
【返済額軽減型の場合】
ローン支払い月額:5万9,730円→4万95円(-1万9,635円)
総返済額:-89万422円
【期間短縮型の場合】
ローン支払い月額:5万9,730円→同額
総返済額:-157万8,069円
期間短縮型の方が68万円以上お得!
※価格.com「住宅ローン繰り上げ返済シミュレーション」調べ
繰上返済は住宅ローン控除の終わる10年後にしないと損!
住宅ローンの繰り上げ返済をすれば、支払い総額が軽減されたり、完済時期が早くなったり、月々の支払い額が軽減されるなど、そのメリットは大きい。しかし、いつ繰り上げ返済をするかについては注意が必要だ。
住宅ローンを組む場合、多くの人が住宅ローン控除を受けていることだろう。これは年最大40万円×10年で400万円も控除が受けられるお得な制度。実はほとんどの人が満額の400万円まで控除されることはないが、大雑把に言って年収400~500万円で2,500万円程度のローンを組めば、10年で170~200万円程度減税されるのである。そもそも住宅ローン減税はローン残高の1%が控除される仕組みになっているので、もし、10年以内に繰り上げ返済をしてしまうと、ローン残高が減って控除される額も少なくなってしまうのである。もちろん、各自の資金状況によって異なるが、基本的には住宅ローンの繰り上げ返済をするなら焦らずに貯金しておき、10年目以降にドガンとするのが正解なのだ。