もし、今親が亡くなって一軒家やマンションを相続することになったら、覚えておきたいのが「小規模宅地の特例」だ。この特例を利用すれば、評価額1億円の土地でも80%オフの2,000万円で相続することができる。場合によっては数百万円の相続税を払わなくて済むので、将来に備えてしっかり覚えておこう!
まずは相続税の基礎控除を理解しよう!
(Image:Shutterstock.com)
もし、今親が亡くなって一軒家やマンションなどを相続することになったら、アナタはどうする? 多くの人は普段相続税についてあまり関心がないので、うろたえてしまうかもしれない。
そこで、まずは相続税の基礎控除(相続税が0円になる基準)について解説しよう。現在、相続税の基礎控除は3,000万円+(600万円×法定相続人数)である。たとえば、お父さんが亡くなったとき、お母さんと子ども2人(法廷相続人が3人)の場合は3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円となり、相続する資産総額が4,800万円以下なら基礎控除枠内なので相続税は0円となるのである。でも、もし都内の一等地に一軒家があり、その住宅の土地の評価額だけで4,800万円以上になることは、一般的なサラリーマンの家庭でもありうる話だ。そうなると、最悪の場合、今住んでいる自宅を手放して相続税を払うことになるのだろうか?
そんなときこそ「小規模宅地の特例」を思い出してほしい。この特例を使えば今住んでいる家を処分することなく、相続税を一銭も払わなくて済むのである。
(Image:Shutterstock.com)
「小規模宅地の特例」の対象となるのは家のある土地(330㎡以下)だけ。建物は対象外なので注意しよう
■相続税の基礎控除(相続税がかからない基準)
3,000万円+(600万円×法定相続人数)
■法定相続人が3人の場合
3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円
※相続する資産総額が4,800万円以下なら相続税は0円!
「小規模宅地の特例」を使えば相続税が0円に!?
「小規模宅地の特例」とは、「一定の面積(住んでいる家は330㎡以下)の小規模住宅であれば、相続時の土地評価額を80%減額(20%で評価)できる」というもの。つまり、相続する家の土地の評価額が4,000万円であったとしても、同居していたお母さん(配偶者・妻)と子どもがその家に住んでいた場合は、評価額が20%の800万円と評価されることになる。
たとえば「小規模宅地の特例」なしで、4,000万円の家と2,000万円の預金などを合わせて6,000万円を相続する場合は、法定相続人3人の基礎控除額4,800万円を引いた残りの1,200万円に対して相続税がかかる。だが、「小規模宅地の特例」が適用された場合は家の評価額が80%オフの800万円となるため、相続資産総額はたった2,800万円になるのだ。つまり、相続資産が基礎控除額(4,800万円)以下になので相続税はかからないというわけだ。これなら、住み慣れた家を処分せずに、引き続き実家に住めるようになる。
なお、この特例にはアパートや駐車場などの事業用土地も含まれるほか、子どもが3年以上親族以外の所有する賃貸住宅に住んでいる場合も対象になるなど、適用条件はかなり細かいので、実際に相続する場合は必ず専門家に相談しよう。
■小規模宅地の特例とは?
一定の面積(住んでいる家は330㎡以下)の小規模住宅であれば、相続時の土地の評価額を80%減額(20%で評価)できる
●国税庁「No.4124?相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」は→こちら