「こくみん共済」とは、全国労働者共済生活協同組合連合会(全労済)が行う保障事業のひとつです。
「こくみん共済に入る価値があるのか?」「こくみん共済と都道府県共済の違いは?」と加入を迷っている人もいるでしょう。ここでは「こくみん共済」と「都道府県共済」や「民間保険」の保障内容の違い、貯蓄性について解説します。共済金が支払われるタイミングについても紹介するので参考にしてください。
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こくみん共済とは?全労済が運営する共済事業
「互いに助け合う」という意味の「共済」には、「組合員の共同救済」という意味も含まれます。
こくみん共済にはどのような保障がある?
こくみん共済には主に8つのタイプの保障があります。
こくみん共済に加入できるのは組合員のみ
こくみん共済に加入するには、組合員になる必要があります。出資金を支払えば誰でも参加が可能で、医師の診断書や持病の有無は問われません。加入申し込みは郵送に加え、Web上でもできますが、「初めて組合員となる方」「指定したクレジットカードをお持ちの方」など一定の条件が定められています。
ちなみに「こくみん共済coop」における組合員とは、「出資者」かつ「運営者」かつ「利用者」のこと。加入には最低でも1口100円以上の出資が必要です。また組合員でなければサービスを利用できません。
こくみん共済と都道府県共済は別物?両者の違いとは?
「こくみん共済」と「都道府県共済(県民共済)」は、非営利の共済事業であること、掛金に応じた保障が受けられること、年齢や性別を問わず医師の診断書や持病の有無などは問われないという点が共通しています。
一方で、こくみん共済は運営主体が全国労働者共済生活協同組合連合会(全労済)であるのに対し、都道府県共済は運営主体が各地方公共団体です。そのため出資金を支払えば誰でも加入できる「こくみん共済」と違い、都道府県共済の場合は原則としてその地域の共済にしか加入できません。
また都道府県民共済の場合は、加入する都道府県によって受けられる保障内容が違う点に注意が必要です。さらに広告や営業にコストをかけず事業費を抑えていることから、掛け金が安いのが特長です。
こくみん共済と民間保険の違い
「こくみん共済」と「民間保険(民間の保険会社)」は、運営主体や保険料、保障内容といった点に違いがあります。こくみん共済が非営利目的で一律の保険料(掛金)と保障である一方、民間保険は年齢や性別によって保険料と保障が変わります。
保険料の違い
前述したとおり、こくみん共済は年齢・性別を問わず保険料(掛け金)は一律です。それに対し民間保険は年齢や性別、持病の有無などで保険料が変化します。
保障内容の違い
こくみん共済は加入プランが少なく選択肢はあまりありません。一方、民間保険は保障内容に合わせて多様なプランが用意されています。
貯蓄性の違い
「こくみん共済」に貯蓄型の保険はひとつしかありません。対して民間保険には「貯蓄型」と呼ばれる生命保険や教育資金を貯める目的の学資保険などが多数あります。
こくみん共済のメリットとデメリット
こくみん共済のメリットとデメリットをまとめました。
【メリット】保険料が手頃
こくみん共済の大きなメリットのひとつが、年齢や性別に関係なく保険料が一律ということ。手頃な掛金で加入できるというメリットがあります。たとえば幅広くリスクに備える「総合保障タイプ」なら、1口900円(月々900円)から加入可能です。
【メリット】医師の診断書がなくても加入OK
民間保険の場合、加入時に健康診断書が必要になるケースが多いですが、こくみん共済は加入のとき、年齢や性別を問わず医師の診断書は必要ありません。持病の有無も問われず、持病や既往歴があっても加入可能です。
【メリット】割戻金が発生する場合がある
割戻金とは、こくみん共済の決算で余剰金が出たときに組合員に返金されるお金のこと。割戻金は、毎年8月末に承認され、10月中旬~11月末までに受け取れます。
【メリット】保障の見直しもできる
こくみん共済は保障の見直しができないと思われがちですが、契約更新時に見直すことが可能です。ただし、共済期間内に特約を中途付加したり保障額を減額するなどの変更ができない点には注意しましょう。
【デメリット】保障額が低く貯蓄性も低い
こくみん共済は保険料が安い反面、保障額が低いのがデメリット。たとえば民間保険の場合、掛け金によっては死亡保障として1億円まで保障できますが、こくみん共済における死亡保険金は最大で3,000万円です。
前述した通り、こくみん共済には貯蓄型と呼ばれる保険がひとつしかなく、2023年現在では低解約返戻金型の「せいめい共済」のみとなっています。
【デメリット】60歳以降に保障額が下がる
年齢を問わず保険料は一律ですが、60歳以降は保障額が下がるため注意が必要です。たとえば、1口900円の総合保障タイプに4口加入した場合、18~59歳までの死亡保障は800万円。対して60~65歳だと200万円、65~79歳だと100万円です。85~85歳になると40万円まで下がります。
【デメリット】保障内容の「カスタマイズ」はできない
保障内容がシンプルな反面、特定の病気やケガに対する保障は不十分な場合があります。また保障内容のカスタマイズもほとんどできません。
【デメリット】若い人は保険料が割高
年齢や性別にかかわらず掛金が一定なため、若い人や健康な人は割高に感じることも。民間保険の場合は若いほど保険料が安くなるため、場合によっては他のプランの方が安く加入できる可能性があります。
こくみん共済がおすすめの人
こくみん共済への加入をおすすめする人について解説します。
・保険料を抑えつつ最低限保障してもらいたい人
・加入している民間保険などに保障を上乗せしたい人
・持病などが原因で民間の生命保険には加入できない人
保険料を抑えつつ最低限保障してもらいたい人
こくみん共済の特徴はとにかく保険料を安いこと。月々の保険料の支払い額を抑えつつ、最低限の保障だけをつけたい人におすすめです。
加入している民間保険などに保障を上乗せしたい人
現在加入している保険に加えて、保障を上乗せしたい人や複数の保険に加入したい場合にもおすすめです。
持病などが原因で民間の生命保険には加入できない人
こくみん共済は持病や既往歴があっても、告知項目に該当すれば加入が可能。これまで民間保険に入れなかった人でも加入できる可能性が高いでしょう。
こくみん共済の共済一覧
こくみん共済の5つの保障について紹介します。
こくみん共済
「こくみん共済」は、入院や通院・手術、死亡や賠償など「もしも」のときに備えた基本の保障です。
総合医療共済
総合医療共済は、入院・手術に加え、三大疾病や女性疾病にも備えた医療保障です。
せいめい共済
せいめい共済は、死亡保障を中心とした遺族保障です。
ねんきん共済
ねんきん共済は、公的年金を補完するシニア向けの個人年金共済です。
いきいき応援
「いきいき応援」とは、持病や既往症がある方をサポートする共済商品です。
まとめ|デメリットを理解した上でこくみん共済への加入を要検討
保険料が安く手頃な点がメリットの「こくみん共済」。しかし保険料が安い分、受けられる保障が低かったり60歳以上に受けられる保障が下がったりするため注意が必要です。こくみん共済の加入を考えている場合は、このようなデメリットを理解したうえでしっかりと検討しましょう。