「給与デジタル払い」認知度は約70%、解禁後は利用する?しない?【MMD研究所調べ】

2023年4月から解禁される給与のデジタル払い。厚生労働省のWEBサイトによると、導入の狙いについて「キャッシュレス決済の普及や送金手段の多様化のニーズに対応するため」と説明されている。「●●Pay」などの決済サービスをメインで使っている人にとっては大きなメリットがありそうだが、一方でデメリットも。解禁を前に、意外と知らない給与デジタル払いの概要を解説する。

給与デジタル払いの認知度は約70%

労働基準法では、賃金は現金払いが原則とされているが、労働者が同意した場合、銀行口座などへの賃金の振り込みが認められてきた。厚生労働省は22年11月にデジタル給与の導入に関する労働基準法の改正省令を公布。キャッシュレス決済の普及や、送金手段の多様化のニーズに対応するため、労働者が同意した場合には、一部の資金移動業者の口座への賃金支払いも認められることになる。これがいわゆる「賃金のデジタル払い」だ。

「給与デジタル払い」の認知度は71.2%だった(「MMD研究所」調べ)

MMD研究所が18歳~59歳の就業している全国の男女6034人を対象に、23年3月7日~14日の期間で「2023年3月給与デジタル払いに関する調査」を実施。給与デジタル払いについて聞くと、「知っており、内容を理解している」が34.9%、「言葉を聞いたことがあるが、内容は知らない」が36.3%、「知らない」が28.8%となり、認知度は71.2%だった。

同社が2022年7月に行った調査と比較すると、認知度は19.2pt増加していることがわかった。さらに、給与デジタル払いを「利用したい」「やや利用したい」と回答した人は29.8%で、全体の3割程度にとどまっている。

本格的な導入は23年夏以降?

(画像は「厚生労働省」(PDF)より引用)

給与の一部だけをデジタル払いで受け取ることも可能(画像は「厚生労働省」(PDF)より引用)

賃金のデジタル払いについて、23年4月から解禁とされているが、実際に使えるようになるのはもう少し先だ。まずは、資金移動業者(「●●Pay」などの運営会社)が、厚生労働大臣に指定申請を行い、厚生労働省で審査される。さらに、雇用主と労働者で賃金のデジタル払いについての労使協定を締結する必要がある。

つまり、資金移動業者が大臣指定を受けたあとに労使協定を結んでからようやく賃金のデジタル払いが開始される…という流れだ。厚生労働省が行う資金移動業者の審査には数カ月かかるとされており、実際には23年夏以降に本格的に導入されることになりそうだ。

デジタル払いで給与を受け取る労働者側から見たメリットの1つに、キャッシュレス決済利用時の利便性向上が挙げられる。これまでは銀行口座で受け取っていた給与を電子マネーなどのキャッシュレス決済で利用する場合、自分でチャージ(資金移動)を行う必要があったが、デジタル払いではその手間や手数料がかからなくなる。

また、給与の一部だけをデジタル払いで受け取ることも可能で、「ボーナスだけ」「5万円だけ」など、自身の生活スタイルに合わせた指定もできる。

一方で、デメリットも。資金移動業者の口座は預貯金口座ではないため、入金の上限金額が100万円に設定されている。口座残高が100万円を超えてしまうと、事前に登録した銀行口座に自動的に資金が移動されてしまう。アンケートでは「銀行口座への資金移動が面倒」「決済アプリ事業者が破綻した際の保証が心配」という声もあり、導入に慎重な見方をしている人も多い。業者が破綻した場合には保証機関から弁済が行われることになっており、バックアップ体制は整っているものの、利用者の不安を完全に払しょくするには至っていないようだ。

出典元:【MMD研究所
参照元:【厚生労働省

※サムネイル画像は(Image:「厚生労働省」(PDF)より引用)

オトナライフ編集部
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