「稼げる副業」と話題になったウーバーイーツ配達員。自転車やバイクさえあればすぐに始められる上、支払いサイクルが短いことが特徴。稼いだ報酬を比較的すぐに受け取れます。
この記事では、ウーバーイーツ配達員がいまも稼げるかどうかを中心に、稼ぐ仕組みや給料、補償などについて解説します。
【基礎知識】ウーバーイーツの配達の流れと報酬の仕組み
ウーバーイーツ配達員は、ウーバーイーツに雇用されているわけではなく、業務委託契約を交わした上で配達を請け負います。つまり、あくまで個人事業主です。
基本的に18歳以上なら誰でも登録可能。登録はオンラインで完結するため、面談の必要はありません。
報酬は基本料金+サポート手数料+インセンティブで決まる
先述した通り、ウーバーイーツ配達員は個人事業主のため、正確には「給料」ではなく「報酬」です。報酬は基本料金、インセンティブ、サポート手数料で決まります。
配達料の金額は50円~550円ほど。また、インセンティブにはブースト、クエスト、ピーク料金があります。
「クエスト」は一定の配達数に応じてもらえるインセンティブ。たとえば「1日5回の配達で1,000円」といった内容で、回数も日数の単位もその時々で異なります。
「ブースト」と「ピーク料金」は同じく混雑する時間帯、エリアに与えられる配達料アップの仕組み。ランチタイムやディナータイムなどに報酬が1.1倍、1.3倍などになります。ブーストはアプリで事前確認できますが、ピーク料金は天気が悪い日などに突然アプリにあらわれます。
こうしたインセンティブを効率よく利用することで、ベテラン配達員は時給2,000円などを実現しています。
ウーバーイーツの注文からお届けまでの流れ
ウーバーイーツ配達員の仕事は、スマホで行います。
配達時間は場所や状況によって変わる
配達員が多くいる時間帯やエリアの場合、自分の近くのお店の配達依頼が届くことが多いです。一方、周辺に他の配達パートナーが少ない場合は、比較的遠いお店の配達依頼が届くことも。つまり飲食店や客先までの距離が遠い場合、配達時間は長くなり、お届け時間も報酬も変わります。
アプリ内で確認できる支払明細から振込される
ウーバーイーツの報酬は毎週月曜日に締められ、火曜日以降に振り込まれます。つまり、週単位の報酬を毎週受け取ることが可能。報酬は配達アプリ内から確認できます。
ウーバーイーツ配達員は今でも稼げる?実際の給料の目安
アフターコロナで、ウーバーイーツ配達員の現状は一般的には厳しいと言われています。
なお、SNS上では今年2月頃から今までと比べ、配達報酬が1割ほど下がっていると訴える声が増加しています。今後報酬額がアップするかどうかは不明ですが、現状、今まで通り稼ぐのは難しいと言えるでしょう。
配達1件あたりの報酬目安
先述した通り、報酬目安は地域や時間帯によって異なり、一般的には配達距離や配達時間などによって報酬が決定されます。一般的には200円から500円程度。
配達員を始めたばかりの頃は、たいてい1時間に2件ほどしかこなす余裕がなく、多くても時給換算で1,000円程度となるケースが多いでしょう。中級者となると、1時間3件程度、上級者は1時間に5件ほどこなすことも可能。時給換算で最大1,500円~2,500円ほど稼ぐことができます。
なお、この他にもクエストやブースト、ピーク料金をうまく活用することでより1件あたりの報酬をアップさせることができます。
配達できる件数は1時間で3件程度
エリアにもよりますが、配達できる件数は1時間で3件程度。効率よく稼げる場所にいて、かつピークタイムの場合は1時間で5件ほど配達することも可能。ただし、15時~17時のアイドルタイムはそもそも注文が入りにくく、配達したくてもできない状況となることもあります。
チップも重要 | タワーマンションが多いエリアなどを狙う
チップはサービス手数料の対象とはならないため、100%配達員が獲得できます。
ウーバーイーツ配達員によくある悩みをご紹介します。
配達先が見つからない、アプリ上のピンの位置とズレている
ウーバーイーツの配達員用のアプリはGoogleマップと紐づけられています。配達先は地図上でピンで表わされますが、配達員はそれを頼りに配達を行います。
しかし、まれに「ピンずれ」という現象が起こり、配達するべき場所がどこだか分からなくなってしまうことも。ピンずれは住所の入力間違いや、Googleマップに正確なデータが掲載されていないなどの原因が考えられますが、おのずと配達時間が長くなり、クレームの原因ともなってしまいます。
雨や雪、猛暑が辛い
ウーバーイーツでもっとも辛いことのひとつが、悪天候や猛暑。
乗り物は自分で用意する必要がある
ウーバーイーツは乗り物を自分で用意しなければなりません。
個人事業主のため事故発生時の補償や確定申告が不安
先述した通り、ウーバーイーツ配達員は個人事業主。配達用の自転車やバイクの故障に対する補償はありません。また、個人事業主として年間20万円以上稼いでいる場合は確定申告をする必要があります。
配達員が事故に遭うとどうなる?補償・賠償金・労災について
ウーバーイーツ配達員が事故に遭った際の補償や賠償金、労災について解説します。
自身への補償
ウーバーイーツは三井住友海上火災保険と包括連携協定を結んでおり、配達員は契約時にサポートプログラムに加入しています。
補償期間は配達中のみ。自身に対する傷害補償の内容は以下の通りです。
・医療見舞金(上限50万円)
・死亡見舞金・葬式費用
・後遺障害見舞金
・入院時または入院後稼働不能となった場合の見舞金(上限60日を上限、1日7500円)
・配偶者・被扶養者への見舞金(配達パートナーが死亡した場合)
・後遺障害等級の確定に要する費用
・入院一時金
・手術一時金
労災に入っていた場合の補償
2021年9月の法改正により、ウーバーイーツ配達員も労災保険に加入できるようになりました。
補償される内容は以下の通り。
・療養補償給付:治療費など全額補償
・休業補償給付:事故などにより仕事ができない間の収入補償
・障害補償給付:後遺障害が残った場合の補償に障害年金や障害一時金の支払い
事故の相手への補償
ウーバーイーツの配達中に事故を起こしてしまった場合、三井住友海上火災保険の対人・対物賠償責任補償を利用することが可能です。補償額には1億円の上限がありますが、配達宙に歩行者にぶつかって怪我をさせてしまった場合や、配達中に注文者の自宅や第三者の車両に損害を与えた場合などに利用できます。
なお、補償期間はあくまで「配達中」。配達中ではない時間以外の損害賠償は自分で支払う必要があります。
ウーバーイーツで安全かつ安定的に稼ぐためのコツ
ウーバーイーツで安全かつ安定的に稼ぐコツは以下の通りです。
・待機場所選びと時間帯を重視
・他の配達アプリも併用
・スマホの発熱やバッテリー持ちには要注意
・スマホの発熱やバッテリー持ちには要注意
・悪天候の日はムリをしない
待機場所選びと時間帯を重視する
効率よく稼ぐコツは、ピークタイムにタワーマンションと飲食店街が近いエリアで待機すること。効率よく依頼をこなせる上、タワーマンション住人からの依頼はチップをもらえる可能性も高いでしょう。
他の配達アプリも併用する
配達員は個人事業主のため、ウーバーイーツだけに縛られる必要はありません。他のフードデリバリーサービスの配達員も並行して行うことで、より効率的に稼げることができます。
スマホの発熱やバッテリー持ちには要注意
前述した通り、猛暑の日はスマホの発熱で使えなくなることがあります。また、前日にバッテリー充電を忘れると、バッテリー切れで仕事ができなくなってしまうことも。スマホの扱いには充分注意しましょう。
悪天候の日はムリをしない
悪天候の日はピーク料金が出やすくなり、より稼ぎやすくなる可能性が高くなります。しかし、巨大台風や災害が予想されるときにはウーバーイーツ自体がサービスを休止することも。保険による補償や労災が下りるようになったとはいえ、配達員はあくまで個人事業主。無理して働くことは事故にも繋がりやすく、おすすめしません。
ウーバーイーツの市場動向 | デリバリー市場が若干縮小も「全国展開」が期待される
エヌピーディー・ジャパン株式会社が2022年11月に発表したデリバリー市場レポートによると、同年のデリバリー市場規模は約7489億円になる見込み。これは前年と比べて5.3%減の数字です。
一方、ウーバーのグローサリー&リテール部門で責任者を務めるオスカー・ヤットソン氏は2023年2月にダイヤモンド・チェーンストアから受けたインタビューに対し、日本を重要な市場と位置づけていると明かし、2023年の目標として「日本全国での展開」を掲げました。エリアが広がることで、配達員として稼げるチャンスも増えると予想されます。
参照元:エヌピーディー・ジャパン株式会社
参照元:ダイヤモンド・チェーンストア
まとめ
個人事業主であるウーバーイーツ配達員は、「事故もすべて自己責任」というイメージがありますが、実際には保険や労災による補償も存在します。
アフターコロナによって稼ぎにくくなったのは事実ですが、エリアも徐々に拡大しているため、インセンティブを上手く活用することで、今後も稼ぐことは充分可能です。
※サムネイル画像(Image:Rodrigo Reyes Marin / Shutterstock.com)