文化勲章をもらうと年額350万円の終身年金が支給されるってホント?

文化の発展に貢献した者に授与される「文化勲章」。過去には川端康成、棟方志功、遠藤周作、丹下健三、黒澤明など、錚々たる人物が受賞している。実はこの文化勲章をもらうと、亡くなるまで、毎年350万円の終身年金がもらえるという噂がある。果たしてこの噂は本当なのだろうか?

「文化勲章」は勲章がもらえるだけ?

(Image:cao.go.jp)

 「文化の発達に関し特に顕著な功績のある者」に授与される「文化勲章」は、内閣総理大臣・廣田弘毅の発案により昭和12年に制定された制度。勲章は橘の五弁の花がモチーフで、中央に三つ巴の曲玉を置き、鈕にも橘の実と葉が用いられている。授与式は毎年11月3日の文化の日に皇居で行われ、天皇陛下から直接授与される大変名誉ある賞なのだ。
 これまで物理学の湯川秀樹(昭和18年)や画家の東山魁夷(昭和44年)、映画監督の黒澤明(昭和60年)、俳優の高倉健(平成25年)、小説家の川端康成(昭和36年)など、錚々たる人物が受章している。だが、「文化勲章」には勲章以外にもらえるものは何も規定がないのである。これは日本国憲法第14条によって規定(勲章への特権付与の禁止)されているためだという。果たして本当に文化勲章を受章すると、年額350万円の終身年金をもらえるのだろうか?

(Image: kantei.go.jp)

2000年11月3日、皇居にて第125代天皇(現・上皇陛下)から文化勲章を授与される筑波大学名誉教授の白川英樹氏(出典:首相官邸ホームページ)

「文化勲章」と「文化功労者」は違う?

 そもそも文化勲章には、とくに金品などの副賞はない。だが、戦後、文化の発展に対して功績が顕著である者に報いるために、年金を支給しようという動きが出てきた。そこで、昭和26年に創設されたのが「文化功労者顕彰制度」だ。これにより、文化勲章受章者は年額350万円の終身年金が支給されるようになったのである。もちろん、これは厚生年金や国民年金とはまったく別にもらえるもので、非課税となっている。
 ちなみに、最近の文化功労者には、野球の長嶋茂雄(平成17年)やマンガ家の水木しげる(平成21年)、アニメ監督の宮﨑駿(平成24年)など、ちょっと身近な人もチラホラ見受けられる。この中に文化勲章のために頑張った人などいないだろうが、ひとつのことに打ち込んでその道を極めれば、アナタも350万円の終身年金をもらえるようになれるかもしれない。

文=塚本康裕/フリーライター

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