自分が死んでも家族が受給できる遺族年金の条件って知ってる?

年金は長生きしないともらえないから損だと考える人もいるだろう。だが、アナタが年金をもらう前に死んでしまっても、結婚して奥さんや子がいれば「遺族年金」が支給されるのを知っているだろうか? 万一のための生命保険と考えれば、年金も決して無駄ではないのである。ということで、今回は「遺族年金」について解説しよう。

遺族年金は配偶者や子に年金が給付される制度

 若い人ほど年金を払わない傾向にあると言われているが、その理由のひとつに、「年金をもらう前に死んだら損」というものがある。だが、これは必ずしも正しくはない。そもそも年金制度は生命保険のような性質を持っているので、もし、アナタが年金を受け取る前に亡くなった場合、配偶者(奥さん)や子供がいれば「遺族年金」が支給されるのである。ただし、受給にはさまざまな条件があるので、ここで確認しておこう。
 そもそも遺族年金には2種類あり、国民年金加入者は「遺族基礎年金」、厚生年金加入者は「遺族基礎年金」に加え「遺族厚生年金」も受給できる。いずれも基本的に受給資格期間が25年以上あること、そして受給できるのは死亡した人と生計を同一にする配偶者(原則年収が850万円未満)と18歳未満で未婚の子であることが条件となる。とはいえ、これ以外にも遺族年金の受給条件はかなり細かいので、万一の場合は、とりあえず市区町村役場または年金事務所で相談したほうがよい。また、受給権が発生してから5年を超えると時効になって受け取れなくなるので十分注意したい。

遺族年金の種類

●国民年金加入者が死亡した場合
【遺族基礎年金】
・死亡者が基本的に国民年金を25年以上支払っていること
・子(18歳未満で未婚)がいる配偶者との子が対象
※基本的に子がいないともらえない

 

【寡婦年金】
10年以上国民年金保険を納付した夫が死亡したとき、妻が60歳から64歳まで受け取れる

 

【死亡一時金】
36カ月以上国民年金保険を納付した夫が死亡した場合に、遺族(配偶者・子・父母)が受け取れる

 

●厚生年金加入者が死亡した場合
【遺族厚生年金】
・死亡者が基本的に厚生年金を25年以上支払っていること
・配偶者(妻は30歳以上)と18歳未満で未婚の子・孫以外に、55歳以上の夫・父母・祖父母まで含まれる
※子のいない30歳未満の妻は5年間しか給付されない

 

【中高齢寡婦加算】
40歳以上の妻(夫は適用外)に加算され、40歳~65歳になる前まで支給される

遺族年金は基本的に、稼ぎ頭の夫を失った子のいる妻を救済するための制度。そのため、子のいない妻や夫にはあまり手厚くはない

「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の違いとは?

 遺族年金の対象は現在では夫も含む配偶者となっているが、基本的には稼ぎ頭の夫が死亡したとき、幼い子供のいる妻が子育てに困らないように助けるための制度である。
 まず、「遺族基礎年金」は、子(18歳未満で未婚)がいる配偶者との子が対象となるが、基本的に子がいないともらえない。受給額は78万100円にプラスして子の人数によって加算される。加算額は第2子までは各22万4,500円、第3子以降は各7万4,800円となるが、子が18歳になると支給は終了する。ちなみに、遺族基礎年金以外にも、10年以上国民年金保険を納付した夫が死亡したときに、妻が60歳から64歳まで受け取れる「寡婦年金」や、36カ月以上国民保険を納付した夫が死亡したときに、遺族(配偶者・子・父母)が受け取れる「死亡一時金」制度もある。
 これに対し「遺族厚生年金」は子がいない配偶者でも受給できるのが特徴。対象者の幅も広く、配偶者(妻は30歳以上)と18歳未満で未婚の子・孫以外に、55歳以上の夫・父母・祖父母まで含まれる(受給は65歳以上)。ただし、子のいない30歳未満の妻は5年間しか給付されない。受給額は亡くなった人の収入で異なり、およそ老齢厚生年金の3/4が給付される。なお、40歳以上の妻(夫は適用外)は「遺族厚生年金」に加え「中高齢寡婦加算」が加算される。これは、65歳になって通常の老齢年金を受け取る前まで支給されるのだ。

●日本年金機構「遺族年金」(公式)は→こちら

文=塚本康裕/フリーライター

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