「どうせ将来年金はもらえないでしょ」「すでに年金は破綻しているよ」「年金より自分で貯金したほうが得!」など、ネットでは年金に否定的な意見が多く見られる。しかし、もし年金制度がないとどうなるかご存じだろうか? 今回は、どうして年金制度が必要なのか説明しよう。
貯蓄だけで100歳まで生きるのはほぼ不可能!
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若い人ほど年金を払わないらしい。その理由は「どうせ年金なんて将来はもらえない」「自分で貯蓄したほうが得」など、人によってさまざまであろう。だが、もし年金制度がなくなったら、今より生活は楽になるのだろうか?
その前に、現在の年金受給者の実態をみよう。厚生労働省が調べた平成30年の国民生活基礎調査によると、高齢者世帯の家計収入の平均は334.9万円である。そのうち公的年金・恩給は204.5万円で、全体の約61.1%を占めているのだ。これはあくまで平均値だが、アナタは月々の年金保険料を支払わず、株や投信などで運用して、将来、毎年200万円以上使えるほど、お金を増やす自信があるだろうか? そもそも一般サラリーマンが、リスクのある投資でお金を増すことなど難しいから、公的な年金制度があるとは考えられないだろうか?
「年金=保険」と考えればとってもお得!
仮に、アナタが年金の掛け金を投資に回して、60歳のときに3,000万円の貯えができたとしよう。それでも、年間200万円使えば15年(75歳)で使い果たしてしまう。もし、90~100歳まで生きたとしたらアナタはどうするだろうか? その点、年金なら100歳まで生きようが、死ぬまで毎月年金をもらえるのである。さらに、年金に加入していれば、将来ケガや病気で働けなくなったときに「障害年金」が支給されるし、万一、60歳までに亡くなっても「遺族年金」が家族に支払われる。つまり、年金とは非常に便利な“保険”でもあるのだ。個人で死亡保険や医療保険などに入っている人も多いと思うが、「年金=保険」だと考えればそんなに損する制度ではないことがわかるだろう。
最後に、もし、年金制度がなくなったときはどうなるか考えてみよう。たとえば、アナタの親がもらっている国民年金がたった5~6万円だとしても、年金制度がなかったらその分は子どものアナタが支払うことになる。しかも、将来に備えて投資してお金も貯めないといけないのだ。仮に30万円の給与でアナタはいったいどこまで対応できるだろうか? よく考えてみてほしい。