10月には多くの品目の値上げが実施され、物価上昇による家計への負担は大きくなるばかり。主婦や主夫として、仕事と家庭を両立させている人は、収入を増やしたい反面、扶養が外れてしまうことによって、社会保険料などの支払いが発生してしまうことに頭を悩ませているのではないでしょうか。株式会社ビースタイル ホールディングスが運営する「しゅふJOB総研」では、621名を対象に、「扶養枠」をテーマにアンケートを実施。扶養を外して働く時給ラインなどについて質問をしました。
“時給相場の壁”は「1,500円以上」と「2,000円以上」
まずは、調査結果をもとに「扶養外し希望指数」がまとめられています。それによると、時給が「1,500円以上」になると、希望指数が4.0から、一気に6.5に上昇しているのがわかります。また、「2,000円以上」になると、希望指数は9.5と、ほとんどの人が“扶養外しを希望する”という結果でした。
パートタイマーが、月に15日働くとして計算すると、時給1,500円では1日4時間で、時給2,000円では1日3時間で1年間の収入が108万円となり、「103万の壁」を超えてしまいます。時給2,000円では、1日4時間働くと「130万の壁」も超える計算に。時給があがることで、扶養内に収めるための調整が難しくなり、「いっそのこと扶養から外れたい」という考えが増えるようです。
「年収130万の壁」については下記を参考にしてください。
時給ライン「1,500円以上」で、6割超が扶養を外すと回答
続いて、「あなたは時給換算でいくら位の仕事であれば、扶養枠を外して働くことを選びますか」という質問の回答をパーセンテージで示しています。これを見ると、時給「1,400円以下」の累計は39.9%と半数以下ですが、「1,500円以上」の23.4%が加わることで、63.4%と一気に過半数を大きく上回ることがわかります。また、「2,000円以上」までの累計は91.9%と、9割以上の人が時給2,000円を超えたら「扶養枠を外して働くことを選ぶ」と回答しています。
時給が上がった分、年収を調整するために労働時間を減らすのは難しいという人も多いでしょう。そのため、“時給があがれば、扶養を外してより多く働き収入をあげていく”という選択をとる人が増えるようです。
2021年と比較して「時給1,500円以上」で、扶養を外す人が増えている
最後に、「扶養枠を外す時給ライン」の2023年と2021年の調査結果を比較しています。すると、2021年は「1,500円以上」までが57.5%だったのに対し、2023年は63.4%と5.9ポイント上昇。「2,000円以上」は2021年の89.0%に対し、2023年は91.9%と2.9ポイント上昇していることがわかりました。
2年前と比較すると、“時給が「1,500円以上」になったら扶養を外して働く”と回答した人が増えています。これも、度重なる生活必需品や電気代などの値上げにより、家計への負担が大きくなっている現状に関係しているのかもしれません。
現在、パートタイマーとして扶養の範囲内で働いている人の中には、かつてフルタイムで働き、高収入を得ていた人も数多くいるのではないでしょうか。“扶養の撤廃”といった言葉も囁かれはじめている今、そういった能力や経験のある人たちは、「時給相場をあげて扶養を外して働く道を選びたい」と思っているのかもしれません。
あらめて「時給相場の壁」に目を向けることで、それぞれの働き方について考える、よい機会となるのではないでしょうか。