愛犬やネコに遺産を相続させることはできる? 相続はできないが使うことは可能?

皆さんは「海外の大富豪がペットの犬に遺産を相続させた」なんてニュースを聞いた覚えはないだろうか? 日本では到底そんなことは無理だと思っているかもしれないが、実は日本でもまったく不可能だとは言えないのである。ということで、今回は、ペットへの相続について解説しよう。

日本の法律ではペットは「物」でしかない!

(Image:Shutterstock.com)

「大富豪が愛犬に遺産を相続させた」こんなニュース、日本では笑い話になってしまうだろうが、アメリカでは州によって本当にペットに遺産相続させることが可能だという。
 確かに今ではペットは家族同然と可愛がっている人も多い。もし、身寄りのない天涯孤独な老人なら、自分の財産を遺されたペットの飼育費にしたいと願うのも十分理解できる話であろう。しかし、日本の相続法では遺産を相続(遺贈)できるのは「人」に限定されており、残念ながらペットは「物」扱いでしかない。したがって、正式な遺言書に「ペットに遺産を譲る」と書かれていても、実際にはペットに相続させることはできないのである。
 だが、日本でも遺言書によって、残されたペットの飼育のために遺産を使うことは不可能ではないのである。

(Image:Shutterstock.com)

日本では直接ペットに相続させることはできないが、「負担付遺贈」や「遺言信託」を利用してペット飼育のために遺産を使ってもらうことはできる

ペットの面倒をみるのを遺贈の条件にする方法も!

 日本の法律では、ペットが遺産を相続することはできない。しかし、自分が亡くなったあとに、遺されたペットの飼育のために遺産を使えるようにすることは可能である。それが「負担付遺贈」だ。“遺贈”とは、法定相続人(配偶者や子など)でない友人や知人などに、財産を渡すことができる制度。つまり、友人や知人をペット飼育者に指定し「ペットの世話をすることを条件に財産を遺贈する」と遺言書に書けばいいのである。
 だが、生前にペット飼育者にしっかりと話をしておかないと、ちゃんとペットの面倒を見てくれないことも考えられる。そんな時は「遺言信託」を利用する方法もある。これは自分の遺産を一旦“信託管理人”に管理させ、ペット飼育のために遺産を管理してもらうというもの。これなら、知人任せにするよりは適切にペットが飼育される可能性はあるだろう。いずれにせよ生前にしっかり対策をしないと、日本では遺されたペットのために遺産を使うことはできないだろう。

文=塚本康裕/フリーライター

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