20代は新社会人として働きはじめる人が多く、それにともない貯蓄をはじめる人もいるだろう。一方で、社会人ならではの付き合いがあったり、家賃をはじめとする生活費を自分でねん出しなければならなかったりと、生活環境によってお金の貯めやすさは人によって差がありそうだ。SMBCコンシューマーファイナンス株式会社が「金銭感覚についての意識調査」を実施したところ、20代の平均貯金額が、前年の調査から約8万円も減少していることが判明した。
8割の20代が貯蓄額100万以下、うち2割は貯蓄ゼロ!
20歳~29歳の男女1000人を対象に、現時点でどのくらいの貯蓄ができているかをたずねたところ、最多が「50万円以下」(45.7%)で、ついで「0円」(18.7%)、「50万円超~100万円以下」(13.0%)だった。貯金が100万円以下の人が約8割、そのうちまったく貯金ができていない人が約2割という驚きの結果に。また、現在貯蓄できているお金の調整平均額は56万円で、前回調査と比べて8万円減少していることがわかった。
20代を前半と後半にわけて見ると、20代後半は91万円で、前回より約15万円減少。婚姻別では、未婚者が49万(前回比7万減)、既婚者が94万(前回比8万減)で、減少幅に差はなかった。この結果から、全体的に貯蓄額が減少傾向で、とくに数年社会人として働いた20代後半の減少幅が著しいことが判明した。
では、20代の貯金額が大幅に減ったのはなぜだろう。20代のお小遣い事情や、リタイアした後、どのくらいのお金があれば安心できるのかといった将来の見通しについてもみていきたい。
既婚者は貯蓄より自由に使えるお金を増やしたい傾向、将来の見通しは楽観的? それとも…
続いて、毎月自由に使えるお金がいくらかをたずねたところ、上から1万円以下(28.0%)、4万円超~5万円以下(17.2%)、2万円超~3万円以下(15.9%)、1万円超~2万円以下(14.3%)、5万円超~10万円以下(11.8%)と幅広い結果に。全体の平均は37,096円と、前回より268円増加した。
婚姻状況別にみると、未婚者と既婚者で対照的な結果に。未婚男性が2,338円減、未婚女性が208円減の一方、既婚男性は5,316円増、既婚女性3,696円増だった。既婚者は貯蓄額が減少したが、その分自由にお金を使っているようだ。
最後に、仕事をリタイアする年齢までに貯蓄がいくらあれば安心できるかという質問には、上から「500万円以下」(20.9%)、「500万円超~1千万円以下」(18.8%)、「1千万円超~2千万円以下」(15.4%)と続いた。調整平均は2,195万円で、前回と比較すると153万円減少した。
2019年に金融庁から、老後資金の必要額は2千万円だと発表されたが、20代の約7割は貯蓄が2千万円以下でも安心だと思っているようだ。物価高や賃金が上昇しない影響も考えられるが、将来の見通しの甘さも貯蓄額の減少に影響しているのかもしれない。