2024年9月からソフトバンクグループ各社では給与のデジタル払いが開始されましたが、世の人たちはデジタル払いについてどのように受け止めているのでしょうか。MMD研究所が実施したアンケート調査結果を見ていきましょう。
給与デジタル払いの認知率は63.9%! 女性より男性の認知率が高い傾向に
MMD研究所が運営するMMD研究所は、18歳~69歳の男女7,000人を対象に、「2024年9月給与デジタル払いに関する調査」を実施し、9月27日にその結果を発表しています。
まず“給与デジタル払いの認知率”について調べたところ、全体では「知っており、内容を理解している」の19.5%と、「聞いたことがあるが、内容は理解していない」の44.5%を合わせて、「認知している」という回答は63.9%でした。
性年代別に見ていくと、認知率が最も高かったのは40代男性の74.3%、次いで、50代男性と60代男性が同率で70.8%、その次が30代男性の69.6%で、最も認知率が低かったのは20代女性の54.4%でした。また、どの年代も女性より男性の認知率のほうが高い傾向にあることが明らかになっています。
給与デジタル払いの利用意向があるのは全体の約2割
次に、給与デジタル払いの利用意向を尋ねています。すると、全体では「利用したい」の7.0%と「やや利用したい」の15.1%を合わせた22.1%に利用意向があるという結果でした。
性年代別に見てみると、最も利用意向が多かったのは10代女性で49.0%、次いで10代男性の43.7%、続いて20代男性の41.7%で、最も利用意向が少なかったのは60代女性の9.9%でした。キャッシュレス決済やデジタルマネーの利用に慣れているからか、若い世代ほど利用意向が高い傾向にあるようです。
給与デジタル払いの知識に関する問題の全問正答率は3.2%
続いて、給与デジタル払いの内容を理解していると回答した1363人を対象に、給与デジタル払いに関する知識について質問したところ、全問正答率は3.2%でした。
設問別の正答率を見ていくと、最も正答率が高かったのは「雇用先で給与デジタル払いが導入された場合、必ず利用しなければならない」(正解は×)の79.8%。一方で、最も正答率が低かったのは「一般的にPayPayはすでにサービスを開始している」(正解は×)の14.9%でした。
一部企業で始まっているとはいえ、まだ現実に自分が関係するという実感が沸かない人が多いのではないでしょうか。おおまかな概要は知っていても、その詳細についての理解までは追いついていないようです。
給与デジタル払いを利用したい理由、第1位は「キャッシュレス化が進んでいるから」
続いて、“給与デジタル払いを利用したい”と回答した1,544人を対象に「利用したい理由」を尋ねています。すると、最も多かった回答は「キャッシュレス化が進んでいるから」の39.1%、次いで「現金を引き出す必要がなくなるから」の33.4%、「現金を引き出す手数料が不要になるから」の31.9%、「キャッシュカードを持ち歩く必要がなくなるから」の28.4%などと続いています。
キャッシュレス決済が浸透し、現金を持ち歩かずによくなるというのは確かに魅力的です。また、「支出や収入を管理しやすくなる」「無駄遣いしなくなる」など、デジタル給与になることで「お金の動きが把握しやすくなる」と考える人も多いようです。
利用したくない理由で最も多かった回答は「セキュリティが不安」
反対に“給与デジタル払いを利用したくない”と回答した5,456人を対象に、「利用したくない理由」を尋ねたところ、最も多かった回答は「セキュリティが不安だから」の35.9%、次いで「すぐに現金を下ろせるようにしたいから」の33.2%、「現金で受け取りたいから」の29.3%といった結果に。
お金がデータ上で管理されることから、セキュリティを気にしている人は多いようです。また、「仕組みがわからないから」「管理が難しいと思うから」など、キャッシュレス決済を利用していない人にとっては仕組みそのものを理解することから始めなければならず、利用することに対して積極的になれないようです。
2023年4月に解禁された給与デジタル払い。その仕組みについて理解や知識が浸透していくには、もう少し時間が必要なのかもしれません。今後実施する企業が増えていくことで、より関心を持つ人も増えてくるのではないでしょうか。
出典元:【MMD研究所】
参考元:ソフトバンクグループ10社が給与デジタル払いに対応