携帯電話大手各社など、現在多数の「○○pay」がしのぎを削っているQRコード決済サービス。そんな各社サービスの利用者を対象とした各種満足度のランキングが、2020年7月に通信・ITサービスの調査機関であるMMD研究所から発表された。
その内容を見ると、「総合満足度」ではPayPayが首位を獲得するも、「利用頻度」や「信頼部門」といった各項目ではau PAYがトップとなる結果に。今後の各社の伸びしろを含めて、その内容を考察していこう。
サービスとしては後発ながら圧巻の1位
この調査では、PayPayとau PAYに加えて、楽天ペイ・d払い・LINE Pay・メルペイの主要QRコード決済サービス6つを比較している。
総合満足度1位となって“総合優勝”を果たしたPayPayといえば、キャッシュレス決済としては後発ながら、「100億円相当あげちゃうキャンペーン」など注目度の高い還元企画で認知度と利用者を一気に拡大したことを覚えている方も多いだろう。現在も定期的におトクな還元を続けており、その利用率はすでにクレジットカードに次ぐレベルまで高まっているとも言われている。そんな高いユーザー支持率もあって、今回のランキングでも好成績を収めたと思われる。
一方で、総合満足度で僅差の2位となったのはau PAY。個別の評価で見ると、還元率やキャンペーン頻度などを評価した「お得部門」と、サービスのセキュリティや利用可能な店舗のわかりやすさなどの「信頼部門」の二冠を獲得。4つ設けられた審査部門2つを制し、その点に限って言えば王者・PayPayを超える評価を受けている。さらにランキングにはされなかったが利用頻度の調査でも、「1週間に1度以上使っている」アクティブなユーザーが6サービスの中で最も多いという結果となりその浸透具合が伺えた。
王者・PayPayの課題はセキュリティ?
さらに詳しく見ていくと、PayPayは「サービスを知ったきっかけ」の回答で、「テレビCM」や「Webメディア記事」、「家族・友人から聞いた」という項目が上位を占め、キャッチーなテレビCMやインパクトのあるキャンペーンで一気に注目を集めて普及したことが伺える。しかしこれだけ話題性を先行させて今の地位を築き上げてきたとすれば、大盤振る舞いのキャンペーンを控えはじめると、「現在のユーザーはサービスを使い続けるのか」という疑問に直面してしまう。
加えてPayPayの今後の懸念点は、信頼部門で6サービス中5位という低い評価だった部分にも存在するかもしれない。これは「ユーザーがサービスのセキュリティを信頼できていない」とも解釈できるからだ。
つい先日にはドコモ口座の不正引き出しが大きな問題となるなど、近年急速に発達する消費者の財産を預かるサービスのセキュリティは、常に注目されていると言っていい状況にある。今後、PayPayは現在のユーザー支持を維持しトップの座を守るのか。それともau PAYをはじめとした他サービスが逆襲を開始するのか。今後のキャッシュレス戦国時代をどこが統一するか。その動向をしっかり見極めていきたい。
参照元:QRコード決済利用上位6サービスの総合満足度1位は「PayPay」【MMD研究所】