近年急速に普及が進むキャッシュレス決済。そんなキャッシュレスの波はウェディング業界にも波及し、「ご祝儀をキャッシュレス決済で贈ろう」というムーブメントが起き始めた。2020年2月にはNTTドコモが、自身の運営する「d 払い」でご祝儀を渡す“キャッシュレスご祝儀”を提案したことでも話題となっている。
今回は、キャッシュレス社会での結婚式のかたちや、ネットを中心とした世間の反応をご紹介していきたい。
マナーでがんじがらめの“リアル”ご祝儀
ご祝儀はご存知のとおり、結婚式をはじめとした祝いの席で送られるお金や品物のことだ。とくに結婚式では、招待された出席者が華やかな祝儀袋にお祝い金を包み、受付で渡す風習が定着している。
しかしそのご祝儀には様々なマナーが存在する。お祝い金は「新札を使う」「割り切れる金額にしてはいけない」、祝儀袋は「金額に合わせたデザインを選ぶ」「ボールペンで書いてはいけない」、受付に渡す直前まで「『ふくさ』に包んでおく」「包む際のたたみ方はこうする」など、何年かに一度結婚式に参加する程度の人間にとっては、参加する直前にネット検索しなければ全てを網羅することはできないだろう。
そんな一般人には敷居が高すぎるマナーの数々に、ネット上でも「祝儀や香典なんかもキャッシュレス決済したいわ」「御祝儀をキャッシュレスで払ってみたい…包むのめんどくせぇ」などの声は少なくない。近年様々な場面で見られる、過度にマナーの遵守を求める“マナー警察”を煙たがる人々は一定数存在するのだ。
また、「香典や結婚式の会費、御祝儀もキャッシュレス決済が出来るように冠婚葬祭社側で早急になんとかしてほしい」といった式場側主導でのキャッシュレス決済の導入を望む意見や、「御祝儀とかも盗難リスク考えたら電子マネーがいいよね」と、現実的なメリットを指摘するユーザーも見られた。
そんな世間の声に応えるように、2019年10月には「PayPay」を運営するPayPay株式会社の社員の結婚式で、キャッシュレスでご祝儀を贈る新たなスタイルの式が行われ話題となった。このアイデアは参加者からも「ご祝儀袋を用意しなくてよくてラッキー」など好意的な反応ばかりだったという。
そんな中で、NTTドコモも2020年2月にd 払いを使った「#キャッシュレスご祝儀 チャレンジ」という取り組みをスタート。自由なかたちで「おめでとう」を贈りあえる、“令和のご祝儀”のかたちを提案しはじめている。
キャッシュレスご祝儀はまだまだ生まれたばかりの文化だが、これからキャッシュレス決済が浸透していくにつれて広く知れ渡る可能性を秘めている。しかし発展途上の文化は様々な“色”がつきやすいのも事実。マナー警察の手で利用者に疎まれるような過度なマナーが定着しないよう、利用者たちの手で大切に育てていってもらいたい。
参照元:結婚式もキャッシュレス PayPayでご祝儀を済ませれば、スマホひとつで出席できる【BITDAYS】