2019年頃から始まったQRコード決済の“戦国時代”。多くのサービスが誕生し、市場シェア獲得のため様々な施策を打ち出している。そんな群雄割拠の中でも存在感を放っているのはやはり「PayPay」だ。大盤振る舞いのポイント還元キャンペーンをCMで大々的に告知して一気に知名度を上げ、QRコード決済サービスの中で断トツのシェアを獲得している。では、PayPayが不動の1位だとして、それに次ぐ2位に入っているのはいったいどのサービスなのか。
今回は、マイナポイントの登録者数などからその順位を推測してみたい。
PayPay、マイナポイントでも格の違いを見せつける
ICT総研が2020年8月に実施したマイナポイント利用状況の調査によれば、「マイナポイントの登録を済ませている」と回答したのは全体の16.6%だった。マイナポイントを登録するとキャッシュレス決済サービスに5,000円相当のポイントが付与されるという破格のキャンペーンを国主導で行っているが、実に80%以上もの回答者がいまだ登録していないという。
そして登録済みの人のうち、ポイント付与に選んだキャッシュレス決済サービスで最も多かったのはやはりPayPay。実に22.3%がPayPayを選んでいた。これは2位の「WAON」(12.0%)や3位の「楽天カード」(11.0%)を10ポイント以上引き離した大差の結果だ。さらにQRコード決済に限って見れば、PayPayに続くのは全体4位の「d払い」(6.7%)。その下に「au PAY」(全体5位・6.4%)「楽天ペイ」(全体6位・4.3%)となり、改めてPayPayの一強ぶりを浮き彫りにした。またPayPayは9月7日に、マイナポイント申込登録が100万件を突破したことを発表している。これは「9月末時点でのマイナポイント全体の登録者数660万人」という総務省の発表と照らし合わせると驚異的な数字と言わざるを得ないだろう。
またマイナポイント登録では、各社とも囲い込みを狙って一定の条件を満たして登録すると独自の特典ポイントが発生するようになっていた。最もおトクなd払いでは最大2,500円分のポイント、au PAYや楽天ペイでも1,000円分・800円分と、前述の順位とほぼ一致する額のポイントが付与されている。では圧倒的な登録者数となったPayPayはさぞマイナポイント登録でも大盤振る舞いしたのだろう…と思いきや、意外にもそこまで費用をかけていない。「総額1億円、1等は100万円分のポイントが当たる」と特典総額を見ると気前よく感じるものの、100万件を超える申し込み数を考えれば1件あたり100ポイントもかかっていない計算だ。話題性を持ちながらも費用はしっかり抑えたPR方法だと言えるだろう。
数の強みを活かした効率的なキャンペーンを打ち出す王者・PayPayと対照的な手法ながら、今回の調査では2位争いはd払いに軍配が上がった。d払いは今後、このポジションをがっちりキープしPayPayの牙城を崩すことはできるのだろうか。今後のQRコード決済のシェア争いに注目していくと、おトクな情報を早期にキャッチすることができるかもしれない。
参照元:2020年8月 マイナポイント利用状況に関する調査【ICT総研】