数あるQRコード決済サービスの中でも、「PayPay」が突出した存在感を放っていることに異論のある人は少ないのではないだろうか。QRコード決済の中で断トツのシェアを誇り、対応店舗数も他のサービスを圧倒している。だが、そんな多数のユーザーは果たしてなんの不満もなく利用しているのだろうか?
今回はPayPayの利用者を対象としたアンケートの結果から、PayPayの長所・短所や、他サービスが取り組むべき“打倒PayPay”の方針を考えてみたい。
PayPayの利用者アンケートでニーズが浮き彫りに
PayPayといえば、「100億円あげちゃうキャンペーン」など世間の注目を集める還元キャンペーンを次々と打ち出し、テレビを見ていても様々な番組でCMを見かけることでもよく知られている。積極的な話題作りが功を奏し、現在ではQRコード決済の中で50%以上のシェアを占めているという。
そんなPayPayの利用者の本音を調べたのが、お金に関する情報を発信するウェブメディア「まねーぶ」。2020年8~9月に、「PayPayを選んだ理由・使ってみてよかった点」や「よく利用する店舗」、「満足・不満足の声」などを調査している。
QRコード決済の中でPayPayを選んだ理由として上位に挙げられたのは、1位「使えるお店が多い」、2位「ポイント還元率が良い」だった。この2つは「使ってみて良かった点」でも同様に1位・2位となっており、利用前・利用後でイメージと実情がかけ離れていないことを意味している。加えて取扱店舗の多さは利用後のほうが得票数が増えており、想像していた以上に街中に浸透していた様子が伺える。
一方でポイント還元率の良さについては2位を維持しているものの、複数回答ができるアンケートにも関わらず得票数が減少している。つまり「思ったほど還元率が良くない」と感じるユーザーも少なからず存在しているということだ。加えて「キャンペーンの内容」に関する項目も選んだ理由に比べて利用後の得票数が3分の2ほどに減っており、派手な宣伝の影に隠れてはいるが還元率やキャンペーンに不満を抱くユーザーもいると推測できる。
「他の電子マネーと併用しているか」という設問には、60%以上が「併用している」と回答。状況に応じてキャッシュレス決済を使い分けるユーザーが多いことを明らかにした。さらに「満足・不満足」の声でも、「本当は『楽天ペイ』で楽天ポイントを貯めたいが、取扱店舗の多さでPayPayの出番が多い。当初のようなキャンペーンがもっとあればよい」「『au PAY』のほうがポイント還元率が良いので、au PAYが使えない店舗でPayPayを使う」といった意見が見られた。大々的なキャンペーンを見て導入したユーザーが、メインの決済サービスが使えない場面で使う“第二候補”として活用している実態もあるようだ。
これらのアンケートを総合すると、PayPayの武器は還元キャンペーンよりも、取扱店舗の豊富さであると言えそうだ。事実、2020年1月にICT総研が発表した各QRコード決済サービスの取扱店舗数の調査においても、PayPayが文字通り“桁が違う”店舗数を誇っていた。とすればやはり、“打倒PayPay”に必要なのは取扱店舗を増やす努力だろう。テレビCMをガンガン打って利用者数を増やすのも必要だが、その前に「使おうとしたら使えなかった」という機会損失を減らすため店舗に導入してもらう営業にリソースを割くべきではないだろうか。
参照元:【キャッシュレス決済調査】利用シェアNo.1の「PayPay」、選ばれる理由とは?【まねーぶ】