破格の還元キャンペーンなどにより、2019年頃から熾烈なシェア争いが続いているQRコード決済業界。数々のサービスがしのぎを削っている中、現段階では「PayPay」が抜けた人気を誇っている現状だ。しかしある調査によれば、利用者数では一人勝ちのPayPayも、「今後利用を検討している」層の中では圧倒的と言えるほどの人気の差は無いようだ。
今回は、今後のQRコード決済のシェア獲得方法がどうなっていくか予測をお伝えしていきたいと思う。
王者・PayPayを脅かす存在は?
PayPayといえば、「100億円あげちゃうキャンペーン」や利用可能な店舗数などで競合他社を圧倒しQRコード決済業界のトップに君臨していることはご存じの方も多いだろう。その王者の貫禄は数字でも証明されており、通信やITサービスの調査機関・MMD研究所が2020年6月に行った調査でも、「最も利用しているQRコード決済サービス」で48.7%という過半数に近い値を叩き出している。2位の「楽天ペイ」、3位の「d払い」がそれぞれ15.7%、13.4%という結果と比較すると、その驚異的なシェアの高さがわかるだろう。
次の戦いの場は新規入会者?
では、今後もPayPay一強の構図が続くのかというと、必ずしもそうとは言い切れない。というのも、まだQRコード決済を利用していない層が回答した「最も利用を検討しているQRコード決済サービス」では、PayPayが“圧倒的な”1位とはならなかったのだ。1位PayPay、2位楽天ペイ、3位d払いという順位はシェア率と変わらないが、PayPayの支持率が26.5%に落ち着いているのだ。さらに楽天ペイは17.3%とシェア率を上回っており、回答者がそのままサービスを利用したと仮定するとその差を縮めることになる。
さらに、現在QRコード決済を利用している割合は34.3%と、世の中全体で見れば3分の1程度しかいないのだ。その中でPayPayが半数近いシェアを獲得していても、今後さらに普及が進んできたときに他サービスが逆転することは不可能ではないはずだ。
となると、今後重要となってくるのは利用を検討している“見込み顧客”へのアピールだろうか。これまではサービスの利用者全員に恩恵のある還元キャンペーンを行っていた各サービスも、現在の顧客を確保できた段階で“新規入会者限定の”おトクな優遇キャンペーンに切り替えていく可能性は否定できない。「うちのサービスはここが良いですよ!」「今入会すると○ポイントプレゼント!」と、未利用者に向けた大々的な勧誘合戦になっていくかもしれない。
その光景はまるで、かつて行われていた携帯電話の新規入会者の勧誘にそっくりだ。考えてみれば大手QRコード決済会社は、どれも携帯キャリアと親会社を同じくしている。一度は終息した争いの火種が、再燃する日は目前に迫っている。
参照元:最も利用しているQRコード決済サービス、トップは「PayPay」で48.7%、次いで「楽天ペイ」が15.7%、「d払い」が13.4%【MMD研究所】