ここ数年で一気に世間への浸透が進んだキャッシュレス決済。2019年頃から広く認知されるようになったQRコード決済では「PayPay」一強の構図が確立してきている。一方でそれ以前からある非接触型スマートフォン決済においては調査の結果、総合満足度1位の座と各評価部門1位が複数のサービスにバラけることに。意外にも、まだどのサービスも勝ち上がってくる気配を見せていないようだ。
今回は、“群雄割拠”状態が顕在化してきた非接触型スマホ決済についてご紹介したい。
総合満足度1位を獲得したのは楽天Edy!
非接触型スマホ決済とは、スマホを読み取り機にかざして支払いを完了させる決済サービスだ。「モバイルSuica」や「nanacoモバイル」など、カード型のICカード決済サービスも展開しているものが少なくない。そんな非接触型スマホ決済サービスのユーザーに対して、マーケティングリサーチ会社のMMD研究所が「2020年7月 スマートフォン決済(非接触)の満足度調査」と題し、サービスを認知した・利用したきっかけや利用頻度を調査。ポイント還元率などを評価する「お得部門」、アプリの操作性などを評価する「デザイン部門」、利用場面の多さなどを評価する「実用部門」、セキュリティの安心感などを評価する「信頼部門」の4部門での評価と、それらを合わせた「総合満足度」のランク付けも行った。
この調査の“総合優勝”とも言える総合満足度には、「楽天Edy」が輝いた。さらに2位に「モバイルWAON」、3位にはモバイルSuicaが続く結果となっている。楽天Edyは同MMD研究所の「2020年7月スマートフォン決済(非接触)利用動向調査」でもシェアトップという結果を残しており、多くのユーザーを抱えながら一人ひとりが満足できるサービスを提供していることが伺えた。
しかし部門別の評価を見てみると、楽天Edyは一度も1位になれていない。お得・デザイン・実用の3部門は2位と健闘しているが、信頼部門では6サービス中4位に沈んでいる。
実は部門別では、モバイルSuicaがデザイン・実用・信頼の三冠を獲得している。残ったお得部門の1位にはモバイルWAONが輝き、総合満足度2位・3位の意地を見せた。しかしこの2サービスも、モバイルSuicaはお得部門で最下位、モバイルWAONも1位となったお得部門以外では4位か5位と奮っていない。どのサービスも一長一短の特徴があり、ユーザーも「この部分もっと良くならないかな…」と感じながら利用している現状が浮き彫りとなった。
利用頻度の回答結果を見てみても、三冠のモバイルSuicaは他サービスが一桁台に留まる「1日2回以上」の回答で19.0%と他を圧倒している。これは特定の店に限らず、様々な場面で利用されているという結果ではないかと推測できる。つまり、利用シーンを問わず「現金決済は時間がかかるから、モバイルSuicaでサッと支払おう」という、忙しい現代人の生活スタイルにマッチした決済方法の地位を確立しているようだ。“定期券としても利用できる”という唯一無二の強みを武器に、ビジネスパーソンに深く浸透していった結果かもしれない。
逆に言えば、それだけの武器があっても抜け出せない横並びの非接触型スマホ決済業界は、まだまだ戦国時代が続きそうだ。
参照元:非接触決済利用上位6サービスの総合満足度1位は「楽天Edy」【MMD研究所】