○○頼りの現実! 全国調査でICカード(Suica・PASMO)決済の弱点が露呈

現在、国をあげて普及に取り組んでいるキャッシュレス決済。2018年頃から一気に存在感を増したQRコード決済をはじめ、全国への浸透が進んでいる状況だ。しかしQRコード決済の台頭によって存在感が薄まっているのが、「Suica」などのICカードによる電子マネーでの決済である。
今回は、ICカード決済が抱える弱点や、今後の展望についてお伝えしていきたい。

急成長中のQRコードに逆転されたICカード

(Image:StreetVJ / Shutterstock.com)

今ではQRコード決済のほうが主流のように掲載されている

 2019年10月に始まった「キャッシュレス・消費者還元事業」などもあり、日本国内でも急速に進むキャッシュレス決済の普及。そんな中、世間に広く周知されるようになったのがQRコード決済だった。「PayPay」の「100億円あげちゃうキャンペーン」など、大々的な還元キャンペーンや印象的なテレビCMをバンバン打ってそのおトクさを世間にアピールした努力の産物と言えるだろう。
 その先行投資が実り、ユーザー数も急増。NECソリューションイノベータが2020年7月に実施した調査でも、43.4%が「QRコード決済を利用している」と回答し、1年前の同調査の18.7%から大幅な躍進となった。

 一方で、これまでクレジットカード決済に次ぐ利用率を誇っていたSuicaやnanacoといったICカード決済は、2020年の調査で利用率41.7%とQRコード決済に2位の座を明け渡す結果に。前年から微減しているものの現状維持と言ってもいいレベルだったため、いかにQRコード決済の成長が著しかったかが強調された。

(Image:BT Image / Shutterstock.com)

かざすだけで完了するICカードの支払いはキャッシュレス決済の中でも群を抜いて早い

 調査結果からICカード決済の“敗因”を考えてみると、とくに目立っていたのは関東とそれ以外の地区での利用率の差だ。関東全体で51.8%、北関東を抜いた1都3県に絞った数字ではさらに高い52.7%と、過半数を超える利用率でQRコード決済を10ポイント以上圧倒した。しかし中部以西の利用率は30%台に低迷しており、逆にQRコード決済に10ポイント以上離されてしまっている。
 “関東”“ICカード”といえば、ICカード決済の代表格・Suicaがある。通勤・通学で欠かせない定期券をSuicaやPASMOで持っている利用者も少なくないだろう。取り出しやすい場所に収納することの多い定期券は、買い物でサッと出すのにも最適だ。事実スマホ決済のサービス別利用率を見ても、モバイルSuicaなど交通系サービスはやはり関東が強かった。

 この結果から見えてくるのは、「自動車通勤の多い地区では交通系ICカードが浸透しづらい」「関東以外の交通系ICカード決済の魅力が少ない」といった可能性だ。前者は企業単体では解決が難しい話だが、後者は企業努力で解決が可能ではないだろうか。キャッシュレス決済をさらに普及させるためにも、西日本の鉄道各社には関東・Suica頼りの現状を脱却するために頑張ってもらいたい。

参照元:Retail Innovations Vol.009 2020年版 一般消費者におけるキャッシュレス利用実態調査レポート【NECソリューションイノベータ

※サムネイル画像(Image:retirementbonus / Shutterstock.com)

オトナライフ編集部
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