現在国をあげて普及が進んでいるキャッシュレス決済。中でも「PayPay」は、世間の度肝を抜く大規模還元キャンペーンなどで一気にユーザー数を増やし、QRコード決済業界の覇権を握っている。PayPayの一人勝ち状態と言える現状だが、ある調査からその対抗馬となり得る勢力の姿が浮かび上がってきた。
今回は、PayPayの牙城を崩す…かもしれない、サービスについてお伝えする。
サービス単体で見ればPayPayの圧勝だが…?
QRコード決済業界は、2018年頃から多くのサービスが周知されはじめ、電光石火とも言える速度でまたたく間に世間に浸透。現在は各サービスがシェアを競う群雄割拠の様相を呈している。
だがそんな中でも、「100億円あげちゃうキャンペーン」や印象的なテレビCMをバンバン打ったことで存在感を確立したPayPayが、シェアにおいても他のサービスを圧倒している。公正取引委員会が2020年8月に発表したデータでも、同年1月にはQRコード決済の市場シェアのうち過半数を占める55%を獲得しているとされた。PayPayに次ぐ2位のサービスが15%という結果からも、55%のPayPayがいかに圧倒的な存在であるかがわかるだろう。
では、シェア争いを独走するPayPayに「待った」をかけられるサービスは存在しないのか。実は「楽天ペイ」が、対抗馬となるどころかPayPayを超えてキャッシュレス決済業界を席巻するポテンシャルを秘めていることがわかった。
データマーケティングマガジンのマナミナによると2020年3月時点のアプリランキングで、PayPayのユーザー数は2,530万人とされる。一方楽天ペイは979万人と、PayPayより 1桁少ない状況だ。
これだけでは到底太刀打ちできないのだが、ここで視点を広げてみたい。楽天ペイには、同じ楽天グループの「ファイナンス」カテゴリのサービスとして「楽天カード」や「楽天Edy」といった“キャッシュレス決済仲間”が存在する。同じ楽天ポイントでつながった“楽天経済圏”にあるそれらのアプリユーザーを合計すると、その数は実に3,079万人。PayPayの母体である“ソフトバンク経済圏”のファイナンスカテゴリが擁する3,011万人を上回ることができるのだ。
つまり、“楽天経済圏”にいるユーザーの数は、“ソフトバンク経済圏”よりも多く、その分、世間での影響力も大きくなるはずなのだ。今はまだPayPayの後塵を拝する楽天ペイだが、サービス間での積極的な新規加入促進や思い切ったサービスの統合などが起きると、一気に勢力図を塗り替える可能性は否定できない。
今後、サービス単体でなくグループ全体・同じ“経済圏”での囲い込みが加速することはたびたび指摘されている。あなたも、自分のいる“経済圏”がこれからどういう進路を取るのか。見逃して乗り遅れないよう、しっかりと観察し見極めていってもらいたい。
参照元:経済圏確立へキャリアが向かう道|ペイだけじゃない、通信キャリアアプリの浸透【マナミナ】
※サムネイル画像(Image:Ned Snowman / Shutterstock.com)