危険? 個人の信用度を可視化した「信用スコア」導入で生活が一変するかもしれないワケ

あなたは現在、どれだけ“信用”されているだろうか。ビジネス上の様々な場面で頼りにされたり、ちょっとした口約束だけでも「この人が言ったなら大丈夫」と相手に安心感を与えたり。周囲の人々からの評価など信用には無数のかたちがあり、それらはどれも「それまでのあなたが周囲に与えてきた印象の結晶」とも言えるだろう。「社会的な信用度」というのもそのひとつ。
今回は、日本でも一般化しつつある、個人の信用度が可視化される「信用スコア」についてご紹介していく。

抽象的だった“信用”を可視化した信用スコア

社会人として大切になってくるのは他人からの“信用”だ

 信用スコアとは、文字通り「その人がどれだけ信用できる人間なのかをスコア化したもの」だ。個人間や小さなコミュニティであれば、「あの人はどういう人だ」という共通認識を浸透させやすいため具体化は不要だろう。しかし社会全体ではそうもいかない。そのため、家族構成や仕事・ポジション、支払いの滞納経験など、その人の過去の経歴・行動などの「信用情報」をスコア化しているのだ。これらを総合したものが、銀行のローンやクレジットカード会社のクレカ発行で可否を決める重要な要素となっている。近年では「J.Score」や「LINE Score」など、ネット上で自身のスコアを確認することも可能だ。

 そんな信用スコアに対する世間の意識や今後の期待などを、博報堂が2020年3月に調査。その結果によると、「信用スコアの社会浸透」に賛成の回答者は57.0%と、43.0%の反対勢を上回った。
 賛成の理由として多かったのは、「自分の立ち位置・評価が確認できる」「才能ある人のチャンスを広げられそうだから」といった、キャリアにおいて上昇志向の人々の意見だった。また、「公平性のある指標だから」という声も一定数見られた。一方で反対の理由では「個人情報の流出リスク」を挙げる声が半数近くを占める結果に。次いで「常に監視されているようで抵抗がある」などの理由も少なくなかった。

(Image:StreetVJ / Shutterstock.com)

Alipayは日本でも利用できるメジャーな決済サービスだ

 賛成した人々が信用スコアの利用によって期待するメリットは、「公共料金・税金の優遇」「買い物時のポイント還元率の優遇」「医療機関での診察待ち時間の短縮」など金銭面・待遇面での優遇だった。
 実は世界には既に信用スコアを利用した優遇サービスが実施されている国も複数あり、特に中国では国家全体で信用を測定・利用している。中国のアリババグループが提供するキャッシュレス決済「Alipay(アリペイ)」に搭載されている「芝麻信用」では、普段のアリペイの利用などからスコア化され、支払いが滞ったりホテルの備品を持ち帰る、さらには交通違反などの問題行為を起こすことでスコアがマイナスされるという。決済に紐づけしやすい支払い・ホテルの利用状況はともかく、交通違反という国が管理する情報が1民間企業に渡っているあたりはさすが中国というべきだろうか。

 信用スコアという情報の取り扱いはデリケートで、2020年6月には信用スコアサービス「Yahoo!スコア」が炎上し終了に追い込まれるなど、日本国内ではまだ一般に導入されるには時間がかかるのかもしれない。しかし、いつか来るかもしれない導入を見据えて日々の生活の襟を正しておくと、後々優遇につながるかもしれないことは覚えておいて損はないだろう。

参照元:HAKUHODO Fintex Base、「信用スコア」に関する生活者調査を実施【博報堂

オトナライフ編集部
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