現在、日本中で普及が進むキャッシュレス決済。国も「2025年までに決済比率40%を目指す」と意気込んで注力している最中だ。しかし思うようにキャッシュレス化が進まない現状に、その原因がデジタル化についていけない高齢者をはじめとした“アナログ難民”だと思われがちだった。しかしとある調査で、意外にも高齢者にもキャッシュレス決済の浸透は進んでいることが明らかになってきた。
今回は、高齢者に代わってデジタル化の進行に待ったをかける、とある“存在”についてお伝えしていきたい。
政府も推し進めるキャッシュレス化の敵は誰だ
「デジタルトランスフォーメーション(DX)」とも呼ばれる、近年急速に進むデジタル化の波。これまで多くの場面で現金が利用されていた決済方法も例外ではなく、クレジットカード決済やICカード決済、ここ数年でその存在感を一気に高めたQRコード決済などのキャッシュレス決済の利用が広まってきている。
しかし実は日本は“キャッシュレス後進国”とも呼ばれるほど、先進国の中でキャッシュレス決済が進んでいない。経済産業省の発表によれば、2016年の段階で日本のキャッシュレス比率は19.9%だった。欧米や中国では40~60%が当たり前で、隣の韓国に至っては96.4%というほぼ“完全キャッシュレス”が実現している状態だ。同じ先進国ながら大きく後れを取っている日本は、まさにキャッシュレス後進国というありさまだ。
そんなこれまではそんなキャッシュレス化の障害となっているのは、デジタル技術に明るくない高齢者ではないかというイメージも蔓延している。しかし60~70代の男女を対象として三井住友カードが2020年9月に実施した調査によると、「普段の買い物で〇〇決済を利用することがある」という設問で「クレカ」は現金に次ぐ90.8%の利用率を記録している。「交通系以外の電子マネー」は2人に1人、スマホを使っていないと利用できない「バーコード・QRコード」決済も3人に1人は利用している事実が明らかとなった。
これだけの割合でキャッシュレス決済を使いこなしているのであれば、「高齢者がキャッシュレス化の障害」というイメージは事実ではないのかもしれない。むしろ使い手ではなく、「現金でないと失礼」のようなマナーが存在する利用シーンにこそ原因があるのではないだろうか。とくにご祝儀や香典など冠婚葬祭の場面で多く聞こえてくるこの“現金主義”の文化を変えていくことこそ、日本がキャッシュレス後進国を脱する一番の鍵になってくるのかもしれない。
参照元:シニア世代の67%がキャッシュレス派!【三井住友カード】