近年、国をあげて進められているキャッシュレス決済の普及。2018年頃からは「PayPay」をはじめとしたQRコード決済が一気に世の中に広まるなど、官民一体となった取組みは消費者の目線で見ていても成功していると言ってもいいだろう。そしてその結果を裏付けるように、「現金決済を使わない人が増えている」という調査結果も報告されている。
今回は、日本が目指す“キャッシュレス社会”への進み具合についてご紹介していく。
およそ60%の人が、この1年でキャッシュレスの利用頻度が増加
日本が現在“キャッシュレス後進国”と呼ばれていることをご存知の読者もいるかもしれない。そんな汚名を返上すべく、国も「2025年までにキャッシュレス決済比率を40%に引き上げる」「将来的には80%到達が目標」として「キャッシュレス・消費者還元事業」を実施したりと普及に向けた対策を続けている。
そんな施策の効果もあってか、リサーチ会社・マイボイスコムが2020年11月に実施した「買い物時の支払い方法」によれば、58.6%の回答者が「1年前と比べてキャッシュレス決済を使う頻度が増えた・やや増えた」と回答。着実にキャッシュレス決済の利用が世間に根付いてきていることを明らかにした。
さらにキャッシュレス決済を使う理由として「少額の支払い時に便利」という回答が前回調査(2017年3月)から倍増。43.7%の回答者が実感しており、QRコード決済やICカード決済が浸透しその使い勝手の良さを実感する人が増えたこともうかがえた。
さらに特筆すべきは、「直近1年間で、店頭で支払った方法」の回答結果。「現金」が前回調査の98.7%から90.0%へと減少していたのだ。複数回答可能な設問のため、自己申告ではあるものの、約10%の回答者は1年間現金決済を利用していない“完全キャッシュレス民”の可能性があるのだ。
今後、キャッシュレス決済の比率を80%まで高めていきたい日本としては、こうした全ての決済をキャッシュレス決済で済ませる“完全キャッシュレス民”が10人に1人いることは強力な追い風になるかもしれない。話でだけ聞いているとただの“意識高い系”に感じられてしまうこともある完全キャッシュレスだが、周囲にいると途端に身近なものに感じられる。それを見た仲間が「あんなに簡単なのか。自分もちょっとやってみようかな」と、キャッシュレス決済の利用回数を増やすことでさらなる普及が見込めるだろう。
ユーザー側としても、普及が進めばこれまで以上に利用できる店舗が増えたりユーザーを囲い込むためのおトクな還元キャンペーンが始まったり、といったメリットも期待できるだろう。今後も“完全キャッシュレス民”の増加とその宣伝効果によるキャッシュレス化の推進を見守っていきたい。
参照元:買い物時の支払い方法に関するアンケート調査(第3回)【MyVoice】