JR東日本系のICカード「Suica」のモバイルサービスである「モバイルSuica」の利用者が近年大幅な増加を見せている。伸び率でみればここ2年で倍、およそ500万人以上の利用者を獲得している。
今回はモバイルSuica好調の理由を紐解き、この流れがもたらす影響を考えていく。モバイルSuicaが「QRコード決済」のシェア争いを終わらせるかも。
ここ数年の伸び率が異常!その要因はなに?
モバイルSuicaの利用者数が1,000万人を突破したことがJR東日本によって発表された。2006年1月28日からサービスを開始した「モバイルSuica」。スマホからSuicaへの入金ができるだけでなく、定期券や一部グリーン券の購入が可能。もはやユーザーにとっては無くてはならないサービスとなっている。
利用者の増加率を紐解いてみると、100万人の達成が2009年。300万人の達成が2013年。500万人が2018年と「200万人」を達成するのに、概ね3~5年ほどの年数を有していたことがわかる。しかし今回の1,000万人の達成は2020年。500万人という伸び率にも関わらず僅か2年の間に達成していることとなる。ここ2年の爆発的な増加の理由は何だろうか。
モバイルSuica の歴史を振り返ってみると、2006年1月にサービス開始。2011年に「AndroidTMスマートフォン」に対応。2016年に「Apple Pay」。2018年に 「Google PayTM」対応と徐々に対応サービスを伸ばしてきた。このなかで特に影響が大きかったのが、Apple Payへの対応ではないだろうか。「iPhone」という多くのユーザーを抱えるツールへの対応も大きいが、近年ビジネスシーンにおいてかなりの普及を見せている「Apple Watch」への対応も好材料となったのではないかと推察される。もはやスマホを出す手間すらなくなったことはモバイルSuicaの利便性を格段に向上させたと言えるだろう。
また、伸び率の時期的な要素でいえばここ数年の「QRコード決済」の爆発的な普及も無関係とはいえないはずだ。モバイルという性質上、アプリ決済との連動は相性抜群。さらに「モバイル端末での精算への抵抗を無くした」という面からもモバイルSuicaへの敷居を下げただろう。
逆説的に考えれば、今回のモバイルSuicaの利用者増はQRコード決済のユーザー争いにも影響を与える可能性も大いにある。特に、モバイルSuicaとの連動を強める「楽天ペイ」にとっては、願っても無い追い風になっていくことだろう。モバイルSuicaに引っ張られ、楽天ペイも“打倒「PayPay」”の機運が高まっていく。
参照元:モバイルSuicaの会員数がおかげさまで 1,000 万人を突破しました(PDF)【JR東日本ニュース】