ここ最近、あなたの周りでキャッシュレス決済はどれほど利用されているだろうか。2016年の調査ではキャッシュレス決済比率が20%にも届かず“キャッシュレス後進国”とまで言われていた日本だが、近年猛烈な速度で巷に浸透してきている。先日行われた調査でもその浸透ぶりがありありと伝わる結果となっており、その注目度は増すばかりだ。
今回は、順調に進むキャッシュレス化についてご紹介していく。
7人に1人が“現金離れ”している現実
マーケティングリサーチ会社・MMD研究所が2020年11月、「【第1弾】実店舗における消費者のキャッシュレス決済利用動向調査」を実施。全国20,000人を対象に決済方法等を調査した。その中で「直近3カ月で現金決済を利用した人」は、86.2%に留まることが明らかとなった。およそ7人に1人が、3カ月間現金を利用していないという。さらに財布に入れている現金の金額も「5,000円未満」が最多で23.3%となったのを筆頭に、60%以上の人が15,000円未満の範囲に収まる、という驚きの結果が明かされた。
これは当然、「買い物をしない」というわけではなく、現金決済に代わってキャッシュレス決済が台頭してきたという証だろう。わずか10年ほど前はほとんど「現金かクレジットカードか」という世の中だった日本だが、“現金離れ”が一気に広まったようだ。また、「日本国内のキャッシュレス化への体感」についても60%以上が「進んでいると思う」と回答。2020年1月の同調査と比べて10ポイント以上増加しており、2020年は消費者の視点から見てもキャッシュレス化が大きく前進した1年となったことがうかがえる。
国は、2016年の調査で19.9%だったキャッシュレス決済比率を、「2025年までに他の先進国と同等の40%、将来的には世界最高水準の80%を目指す」と宣言している。高齢者をはじめとしたデジタルに明るくない人々や根強い現金志向の存在もあり、当初は倍増させることは難しいのではないか、と言われていた。しかし蓋を開けてみれば、このコロナ禍の影響もあってか、現金決済の利用は大きくブレーキがかかっている。
さらに近年では、「PayPay」や「楽天ペイ」といったスマートフォンを使ったQRコード決済もその存在感を高めており、おトクな還元キャンペーンなどでその利用者は急増している。そうした民間企業の存在もあって、今回の調査結果のように15%近くの人が“現金離れ”を果たしているのかもしれない。
これから目標とする40%を目指すには、そうした企業の協力も不可欠だろう。また、今の普及の伸びを考えると、逆に言えば企業の協力があれば40%よりもさらに高い水準、50%、60%といったラインを目指すことだってできるのではないだろうか。国も、キャッシュレス決済サービスを扱う企業には、足を向けて寝られなそうだ。
参照元:キャッシュレス利用者の3割以上がキャッシュレス未対応が理由で来店をやめたことがある キャッシュレス決済、普及の体感は61.3%、期待は60.3%【MMD研究所】