「2025年にはクレジットカードは淘汰され消えかけているかもしれない」「しかもその流れの中心にいるのはGAFAだ」そんな大胆な予想が世間で囁かれているようだ。近年世界的に普及しているキャッシュレス決済の中でも、最も歴史があり最も利用されているクレジットカード決済。それが消えてしまう、というのはいったいなぜだろうか。
今回は、進み続けるデジタル化の中で飛躍を遂げるサービスと、淘汰されてしまうサービスについて考えていきたい。
クレカとスマホ、持つならどっち?
「クレジットカードが消える」とはいったいどういうことなのか。クレジットカード決済といえば、日本国内でも50年以上にわたって利用されるキャッシュレス決済の中でも随一の歴史があり、日本クレジット協会によれば2019年には2億6千万件以上の契約枚数を誇る巨大な決済サービスだ。読者の中にも複数枚のカードを持ち、使い分けている人もいるのではないだろうか。
しかし近年、ICカード決済やQRコード決済といった新たなキャッシュレス決済が登場。「読取り機に差し込む」というクレジットカード決済に比べて「読取り機にかざすだけ」と手軽な決済方法のため、会計もよりスピーディーになっている。
加えて年々スマートフォンは高性能化を続けており、さまざまな機能がスマホへと集約されてきている。QRコード決済は当然のこと、ICカード決済まで「モバイルSuica」などスマホへの移行が進んでいるだけに、「クレジットカードとスマホ、どちらを持ってどちらを手放すか」と考えたとき、手放されるのはクレジットカードだろう、というのだ。
さらに、これまでマーケティングに欠かせない武器だったクレジットカード会社が持っている顧客のカード利用情報が、Google やAmazon などの持つ検索・アクセス履歴、購入履歴といった上位互換の情報に取って代わられる可能性も指摘されている。そうした強みを徐々に失い続けていくことで、クレジットカードは弱体化していくことになるかもしれない。
実際にクレジットカード会社のひとつ・マスターカードではAppleと提携しクレジットカード「Apple Card」をリリースした。飲み込まれる脅威を味方につけることで最先端のデジタル技術も利用できるようになり、時代の波に飲まれず新たなクレジットカードへの生まれ変わりを目指しているようだ。
ここのところ、クレジットカードもICカード決済のような“タッチ決済”が可能になっているものも多く、従来のかたちから変貌を遂げている最中だ。しかしタッチ決済は「Suica」が20年前には使っていた方法。競争力としてはまだまだ弱いと言わざるを得ない。これからの「決済方法同士の主流争い」を勝ち抜くには、マスターカードのように新技術の導入に積極的になるべきだろう。今後クレジットカード決済が“カード”という形式からどう進化していくのか。その行く先はGAFAの手に委ねられているのかもしれない。
参照元:「クレジットカード、半導体も…」GAFAが狙う次のターゲットは?【PHPオンライン衆知】