毎日のニュースで度々話題になる「円安&円高」。ビジネスマンなら理解していて当たり前だが、意外と詳しくは知らないという人も多いだろう。ここではビジネスマンが知っておきたい「円安&円高」の基本を学ぼう!
個人が海外で買い物するなら「円高」がお得!
(Image:Shutterstock.com)
そもそも「円安&円高」とは日本円と外国の通貨を交換する「為替レート」で使われる言葉。もっとも代表的なのは「米ドル/円レート」で、米国への輸出が多い日本ではこのドル/円レートによって企業の業績が左右される。結果として株価や日本の景気にも大きな影響を与えるため、ニュースでは毎日、ドル/円レートがいくらなのかを報じているというわけだ。
ドル/円レートは、各国の要人発言(トランプ大統領など)や経済政策(FRB/日銀など)、政治不安(北朝鮮・中国など)や天災など、さまざま要因で変動するが、日本円が買われれば「円高」に、日本円が売られれば「円安(ドル高)」になる。具体的に言えば、米国で1ドルで売られている米国産ポテトチップスが、昨日は1ドル/100円だったのに、今日1ドル/90円になれば、昨日より10円安く買える。これはドルより円の価値が高くなったので「円高(ドル安)」だ。しかし、逆に1ドル/110円になった場合は、昨日より10円高く買うことになる。これは円の価値が下がったことになるので「円安」となるわけだ。
ただし、2018年9月現在のレートである1ドル/110円が「円安」なのか「円高」なのかは、いつのレートと比較するかで異なる。たとえば、2015年6月のアベノミクスで1ドル/125.85円だったときから見れば、まだ「円高」と言えるが、2011年10月のリーマンショック時の1ドル/75.54円から見れば今はかなり「円安」だと言える。
1ドル/100円だった米国産ポテトチップスが、1ドル/90円になれば、昨日より10円安く買える。これはドルより円の価値が高くなったので「円高(ドル安)」だ。逆に1ドル/110円になった場合は、昨日より10円高く買うことになる。これは円の価値が下がったので「円安」となる
輸出企業の多い日本は「円安」で景気がよくなる!
個人が海外旅行に行って買い物をするときは、円高の方が安く物を買えるのでうれしいが、輸出で儲けている企業が多い日本にとって、円高は厳しい状況になる。
たとえば、1台1,000ドルのTVが1万台売れたときで考えてみよう。1ドル/100円のときの売り上げは10億円だが、1ドル/110円のときは11億円、1ドル/90円のときは9億円になってしまう。つまり、1ドル/100円基準に考えたとき、輸出企業にとっては同じものを同じ数売っても、1ドル/110円(円安)のほうが1億円多く儲かり、1ドル/90円(円高)では1億円も損するというわけだ。
もちろん、最近の輸出企業は現地生産や為替対策を事前にすることで為替レートによる影響を少なくしているが、それでも基本的に輸出企業は円安のほうが儲かるし、企業が儲かれば株価も上がり、日本の景気は良くなるというのが一般的な考え方なのである。事実、アベノミクスでは円安が進んだことで株価も上昇し、日本の景気は好転。少子化の影響も大きいが、急激に雇用も回復してきているのだ。
米国で日本のTVを1台1,000ドルの価格で1万台売れたときで考えると、1ドル/100円のときの売り上げは10億円だが、1ドル/110円のときは11億円、1ドル/90円のときは9億円になってしまう。同じ価格で同じ数を売っても、為替レートで儲かったり損したりするのだ