現在、日本国内でも急速に浸透してきているキャッシュレス決済。日本では「2025年にキャッシュレス決済比率を40%まで引き上げる」という目標値も掲げている。そんなキャッシュレス決済の波は、世界でも広がっている。というよりも、世界のほうが進んでいるというべきだろう。
今回は、東南アジアの国のひとつベトナムで起こっているキャッシュレス決済の浸透具合と、そこで流行する決済サービスについてお伝えしていきたい。
ベトナムで流行のキャッシュレス決済・MoMo
経済産業省によれば、2019年の日本のキャッシュレス決済比率は26.8%だったという。これは世界的にはまだ高い数字ではないが、40%という世界水準を満たすレベルを目標に頑張っている段階だ。同様にベトナムでも「2020年末までに現金決済の割合を10%未満」「キャッシュレス決済をスーパーマーケットで100%、都市部の個人店でも50%」を目標として普及に向けた取組みを続けていたという。
そんなベトナムで現在流行しているキャッシュレス決済サービスが、モバイル決済システムの「MoMo」だ。人口約1億人のベトナムにおいて、2,300万人のユーザーを獲得しているというモンスターアプリなのだという。国民のおよそ4人に1人が使っている決済サービスと考えると、その普及ぶりがよくわかるだろう。
今回のニュースでは、そんなMoMoの運営会社が資金調達を行ったことが紹介されていた。新たに資金を獲得したことで、今後サービスを“スーパーアプリ化”したりとさらに利便性を向上させシェアを拡大していくつもりのようだ。
このMoMoがベトナムで大流行しているのは、「銀行口座が不要」というのが理由なのだという。実はベトナムは、銀行口座を持つ人が少ないのだという。イギリスのスタンダードチャータード銀行が2019年に伝えた調査結果によれば、ベトナムは銀行口座の利用率が30.8%で東南アジアの国でもトップクラスで低いのだという。そのため日本では広く普及しているクレジットカードも、ベトナムではわずか4.1%の利用率に留まっているとも報告している。
クレジットカードの文化が未発達だったベトナムだからこそ、銀行口座不要のキャッシュレス決済であるMoMoは多くのベトナム国民から支持されたのだろう。前述の2020年を期限としたハイレベルな目標が達成できているかはまだ確認できていないが、これからベトナムが“キャッシュレス先進国”に成り上がっていけるかどうかを、他国から興味深く見つめていきたい。
参照元:ベトナムで2,600万人が利用するキャッシュレス決済「MoMo」【BRIDGE】