イプソスの行なった、「クレジットカード」と「QRコード決済」の推奨意向(NPS)調査結果の結果、クレジットカードとQRコード決済の数値の動きに大きな違いが出ていることが分かった。
今回は、この数値から見るQRコード決済の今後の展望と、クレジットカードの復興の可能性について迫っていく。
QRコードへの満足度が低下している?
イプソスの行なった「キャッシュレス決済大規模調査」の結果が発表された。クレジットカードとQRコード決済の利用者に推奨意向(NPS)を聴取する調査だが、2020年はクレジットカードとQRコード決済で違う傾向が見えてきた。
2019年の調査開始以来QRコード決済のNPSはクレジットカードに比べて高い数値を記録していたが、今回の結果ではNPSが低下しており、反対にクレジットカードのNPSは現状を維持した盤石な数値となっていることが分かった。
近年爆発的な普及を見せ、大きく市民権を得たQRコード決済だが、拡大は少し頭打ちになりつつあるようだ。お得なキャンペーンにつられてサービスを利用開始したものの、一時ほどの高還元が無くなってきたことが原因ではないだろうか。一度蜜の味を覚えてしまえば、もはや通常の還元率では「お得ではない」と満足できないのは当然の心理だろう。運営各社が、加熱するシェア争いに勝つために身銭を切った“バラマキ戦略”が結果として裏目に出てしまった形だ。あくまでも一過性の支持しか集められなかったようだ。
クレジットカードは評価が変わらないのも興味深い。一時は、QRコード決済の勢いに押されて影が薄くなっていたが、慌てることなく愚直な路線を貫いたことが大きいか。QRコード決済に対抗するようにバラマキ戦略で戦っていたら、共倒れになっていただろう。さすがにキャッシュレス決済界の古株だけあって、地に足をつけた見事な戦略である。
また近年多発する、不正利用やデジタル犯罪もこの結果に大きな影響を与えているのではないだろうか。新規サービスであるQRコード決済は便利だが「万が一のリスクが大きい」と感じられたのではないだろうか。一方で歴史と格式のあるクレジットカードのセキュリティ面は万全である。危機管理能力の高いユーザーはクレジットカードへと戻っているのかもしれない。
大規模なキャンペーンは劇薬だと述べたが、このままではQRコード決済サービス自体が下火になっていくかもしれない。人々から再び信頼を集めるためにはもはや大型キャンペーンしかないかもしれない。
参照元:2020年キャッシュレス決済大規模調査 NPSと満足度はどう変化した?【イプソス】