「PayPay」が2020年9月より停止していたゆうちょ銀行からのチャージを1月20日に再開した。「eKYC」というオンライン本人確認機能を追加したうえでの連携復活に、長らく不便を感じていたユーザーからは喜びの声が上がった。2020年9月に発覚した「ドコモ口座」に端を発した大規模不正引き出し事件で、最大の被害総額を被り、そのリスク感度の低さを露呈することとなった、ゆうちょ銀行。キャッシュレス決済サービス業界トップとの連携再開はゆうちょ銀行の助け船となるのか?また本当に安全性は保障されたのか、考えたい。
狙われた最大かつ「安心」なはずのゆうちょ銀行
2020年9月、多くの人を驚かせ大きな不安に陥れた、ドコモ口座をはじめ複数のキャッシュレス決済サービスを通じた、銀行口座への不正アクセス事件。サービス事業者と金融機関、双方において十分な本人確認がなされていなかったことが悪用された原因とされ、大きな問題となった。なかでも、国内の金融機関で圧倒的な口座数を保有するゆうちょ銀行の被害は甚大で、被害総額は同年10月5日には約4,940万円にものぼるとされた。
その後、ゆうちょ銀行は代表執行役社長の直接指揮の元、各事業者と連携し本人確認時における二要素認証を推し進めるなど、セキュリティの強化に取り組んできた。その結果、2021年1月13日には「メルペイ」「LINE Pay」とのサービスを再開。20日にPayPayとの接続も再開されることとなった。
ちなみに、警視庁は件の事件に関わったとして実行役の容疑者3名を2021年1月19日に逮捕。組織的犯行と思われる本事件の解明を進め、今も捜査が続いている。
一方で、キャッシュレス決済サービスは近年、若い世代を中心に広く普及し、コロナ禍の非接触決済ツールとしても重宝され、今や日常的なサービスとなってきている。そのためゆうちょ銀行だけでなく、事件以前まで連携していた各種キャッシュレス決済サービス側としても、早急にチャージを可能にしたかったことだろう。
今回、サービス事業者と金融機関、双方向からのセキュリティ強化がようやく整った。メルペイ・LINE Payに続き、今回最大手のPayPayも再開させたことで、これから業界全体で連携再開のムードが高まっていくことは必至だ。著しく落ち込んでしまったと言えるゆうちょ銀行の信頼性も、事業者と連携のとれた相互方からの安全な運営が続くことで、徐々に回復していくだろう。
この一件を機に、さらに利便性と安全性の増したキャッシュレス決済サービスのシステムが確立していくことを願いたい。
参照元:PayPay ゆうちょ銀行からのチャージ再開について【PayPay】