楽天が、2020年を赤字で終えていたことが明らかとなった。2020年12月期の売上高は前年同期よりもアップしているものの、モバイル事業をはじめとしたグループ内事業への投資が響き全体としては赤字となったようだ。しかし三木谷浩史代表取締役会長兼社長 最高執行役員は決算会見で、今回赤字を引っ張ってしまったモバイル事業の将来性に高い期待を寄せていた。今年はその将来性の片りんを見せることができるだろうか。
今回は、赤字決算となった楽天が2021年にどのようなシナリオが待ち受けているかを考えていきたい。
楽天、2020年最終月を赤字で締める
2月12日に楽天が発表した2020年12月期の連結業績決算によれば、売上高は1兆4,555億円と前年同期比で15.2%の成長を遂げている。しかし営業損益は938億円のマイナスで、赤字だったことを報告した。中でも赤字となった主要な原因はモバイル事業にあるようで、2020年第4四半期で見て、451億円の売り上げに対し725億円の営業損失を計上しているという。またトラベル事業についても、一度落ち込んだ需要が「Go To トラベル」で持ち直した、と発表では伝えているが、頼みの綱のGo Toも現在は停止となり再開の日程も不透明。今後の見通しを立てるのは難しい状況だ。
一方で今後に対する好材料も明かされており、楽天モバイルで新プラン「Rakuten UN-LIMIT VI」発表後の申込数が「4倍近い」ことや、営業損失自体も自前の基地局の設置を計画よりも前倒しで進めているがゆえの損失であることをアピール。三木谷氏も「今年がボトム」と発言し、提供エリアが拡大して軌道に乗れば十分にペイできる範囲であることに自信を覗かせた。
三木谷氏が「4倍近い」と話した楽天モバイルの申込数は、UN-LIMIT VIの発表以降急激に増加していることが明らかとなっている。1月29日に行った同プランの発表では220万としていた申込数が、2月8日時点で250万を突破したという。わずか10日程度で30万件の申し込みがあったことを考えると、「1GBまで0円」が売りのUN-LIMIT VIの集客力がどれほど強かったかが伺える。
楽天のライバルとして経済圏争いが白熱しているソフトバンクグループでも、2月8日に行われた決算会見で大幅な黒字を発表。代表取締役 会長兼社長執行役員を務める孫正義氏が会見で「金の卵の収穫期に入った」と述べ、短期的な損益だけで判断しない投資の重要性を語った。
楽天はいつ、これまで行ってきた投資の収穫期に入ることができるだろうか。その時期を大きく左右するのは、既存の3キャリアに追いつき追い越せを目指すモバイル事業にかかっていることは間違いなさそうだ。
参照元:三木谷氏、楽天モバイルは「4位にとどまるつもりはない」–新料金で申込数が4倍に【CNET Japan】
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