2021年3月1日、ヤフー(Yahoo!)を傘下にもつZホールディングス(以下、ZHD)とLINEが経営統合し、新生Zホールディングスが誕生した。これによりZHDは、国内総利用者数3億人超、国内提供サービス200超、グループ従業員2.3万人という、国内最大級のインターネットサービス企業に生まれ変わったという。今後、さまざまなサービスがZHDないし提携企業から展開されていくことが予想されているが、その中でも要注目のトピックが、行政のデジタル化についてだ。今後、どのように進化、実現していくのか。大きな話題をかっさらった今回の経営統合について追いたい。
内閣府のマイナーポータルと提携
経営統合の発表があった同日から、QRコード決済サービス「PayPay」を中心としたキャンペーンや、LINEアプリ内のサービス一覧上にはヤフー系サービスが表示された。両社が統合した盛り上がりやその影響力について、ニュースや噂で聞くだけでなく自ら体感したという読者も多かったのではないだろうか。
そんな経営統合の場で伝えられた内容からは、今後注力する領域のひとつとして行政のデジタル化が予見された。例えば、1日の説明会で明かされたのは、新型コロナウイルスのワクチン接種について。LINEでは、ワクチン接種の予約をLINE上で完結できるシステムを提供しており、LINE公式アカウントから会場や日時を予約・変更が可能なのだ。他にもLINEの音声対応サービスを活用した電話対応を自動化しており、電話が繋がりにくいといった場面の解消や、コールセンターの人手不足対策にもつながっているんだとか。
もうひとつの例が引っ越し時の手続きについて。転出・転居の届け出や印鑑登録の廃止、児童手当など、それまで住んでいた街と引越先の街の自治体で必要となる諸々の手続きをスマートフォン上で完了できることを目指すそう。2021年度中には、内閣府のマイナーポータルと提携した行政手続きのオンラインシステムサービス開始も伝えられた。児童手当や介護といった手続きから、拡充していくようなので、これらのサービスがもし世の中に広がっていけば、人でごった返すような関係施設の環境や、仕事を休んでわざわざ手続きに時間を割くようなことは解消されていくかもしれない。
2020年には公共料金の支払いなどをQRコード決済で支払いできる自治体も全国各地に増えていった。これに加えて、2021年にはさらにワクチン接種の予約や引っ越しの行政手続き、スマホで完了することができれば、それらの対応にとらわれていた人件費やコロナ禍による、人と人との接触を大幅に改善することにもなりえる。待ち時間などを考えれば利用者としても嬉しいし、自治体などにとってもいいコト尽くしだ。
こう見るとポジティブな面を強く感じるとはいえ、それはすなわちスマホですべて完結する未来。そんな未来もそう遠くないように思えるが、この未来が実現するとなれば、現在もAmazonやGoogleといった企業に提供しているさまざまな個人情報を、これからはヤフーやLINEにも握られることにもつながるのは間違いない。これを「怖い」と思うか否かは人それぞれだが、何はともあれ、ヤフーとLINEの知見を手にしているZHDの今後の施策に注目が集まる。
参照元: 「LINEで引越手続きやワクチン接種予約」、LINEとYahoo! Japanが進める行政のデジタル化【ケータイ Watch】
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