大手ネット通販サービス「楽天市場」のポイント制度が見直され、加盟店側の負担が増えるかもしれないことが分かった。楽天グループのサービスはユーザーに対してお得な制度やキャンペーンが充実していることで知られているが、ユーザーの優遇を重視するあまり楽天市場ではこれまでも加盟店との問題を起こしてしまってきた過去がある。果たして今回の一件はどのような決着を見るのだろうか。
今回は、楽天市場に訪れるかもしれない未来について考えていきたい。
楽天市場、加盟店側の不信感は募る一方…
3月26日、「朝日新聞デジタル」は「楽天、加盟店とのポイント契約を変更へ 店側の負担増か」という記事を掲載。加盟店側が楽天市場に支払う“負担金”を巡って問題が起こっていると報じた。
これまでの楽天市場では、ユーザーが商品を購入した場合、商品を販売した加盟店はユーザーに付与されるポイントと同額の負担金を楽天市場に支払っていた。(100ポイント付与されれば、100円の負担金が発生)この制度では負担金に消費税も含まれ、購入客から受け取った消費税額から仕入れなどで支払った税額を差し引くことができた。しかし、国税庁が負担金を消費税の課税対象としない方法を例示。楽天は国税庁と相談し、今後は負担金ではなく「預かり金」としてポイント制度の見直しを検討中だという。負担金分の仕入れ税額控除ができなくなり、店側の負担が増えることについて反発する加盟店が続出している。
楽天といえば、最近「楽天モバイル」が格安スマホの中でも注目を集めている。米倉涼子が出演するCMでおなじみの楽天モバイルは、自社エリア内ならデータ使い放題・1年間月額料金無料となるプランや、データ通信が1GBまで無料になる「新プランのRakuten UN-LIMIT VI」を4月1日からスタートさせるなど、業界でも最安値のプランを用意。「楽天カード」と連携したキャンペーンを打ち、グループ全体でユーザー獲得に注力している。すでに300万回線を突破し、業界で最も勢いのあるキャリアへと成長を遂げた。
しかし好調な楽天モバイルとは裏腹に、加盟店側との問題を抱えている楽天市場。2020年3月にも送料無料問題で加盟店側から反発を受け注目を集めた。このとき楽天市場が打ち出したのは、「3,980円以上購入した場合(沖縄や離島などを除く)一律で送料無料になる」とする方針「送料込みライン」を発表。無料になった分の送料は加盟店が負担するとしていた。しかしこの方針に加盟店側は猛反発。任意団体・楽天ユニオンは4,000筆超の署名を公正取引委員会に提出し、独占禁止法に抵触するとして調査を求めた。中には「送料無料だと赤字でやっていけない」などといった悲痛な声も寄せられていた。
送料無料の方針同様、加盟店側の負担が増える楽天ポイントの負担金の見直しが実施されれば、再びの反発は避けられないだろう。ユーザーが喜ぶサービスを提供しようとする姿勢は、楽天モバイルも楽天市場も評価できるが、ポイントの契約見直しでは加盟店側への配慮も必要になってくる。
負担金に消費税がかからない新たな契約の実施は来春頃を予定。この方針が、もしかすると楽天モバイルにも何かしらの影響が及ぼすかもしれない。それまでに加盟店側へどのような対応を見せるか、楽天市場の動向に注目が集まる。
参照元:楽天、加盟店とのポイント契約を変更へ 店側の負担増か【朝日新聞デジタル】
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