マイナンバーカードを普及させるために総務省が進めている「マイナポイント事業」が難航しているようだ。最大5,000ポイント(5,000円相当)の還元を受けるためには、マイナンバーカードを2021年3月末までに申請しなければならなかったが、今回その期限を4月末までと1ヶ月延長をした。
そもそもマイナポイント事業自体も2021年3月末までだったものを、9月末までと半年間延長した経緯もある。度重なる変更はマイナンバーカードの申請率が伸び悩んでいるから? 今後の私たちの暮らしに大きく影響するマイナンバーカードだが、マイナポイント事業の現状を見ながら今後の動きを考えたい。
度重なるマイナポイント事業の変更から見えてくること
総務省が消費活性化とマイナンバーカードの普及を目的に、「マイナポイント事業」を開始したのは2020年9月のこと。マイナンバーカード所有者がマイナポイントを申し込みキャッシュレス決済サービスを利用すると、最大で5,000ポイント(5,000円分)の還元を受けることができるというこの事業。買い物やチャージをすることでポイント還元が受けられるのは当初2021年3月末までだったが、マイナンバーカードの普及がなかなか進まずに、昨年11月には事業自体を21年9月末まで延長すること、ポイント対象枠も4,000万人から5,000万人へ拡充することが決まった。
そしてマイナポイントの対象となるのは、3月末までにマイナンバーカードを申し込んだ人だったが、今回その申請期限も1ヶ月延長され、4月末までと変更されたのだ。政府がマイナンバーカード未発行の人にQRコード付き申請書類を3月までに送付しているため、期限を延長しカード申請者を増やそうという思惑だろう。
背景にあるのはやはり、マイナンバーカードの普及が政府の思い描いていたほどの伸びを見せていないことだろう。申込者数が増えてきてはいるが、マイナンバーカード申請者数は3月25日の時点で約4,317万人。この数字を多いと見るか、少ないと見るか。2020年11月25日の時点では約2,900万人程度だったことを思えば確かに増えてはいるが、管政権が目標とする2022年度末までに全国民に行き渡らせることは難しいと言わざるを得ないだろう。
マイナポイント事業は失敗だったのだろうか? 1人あたり最大5,000円相当のポイント還元は確かに嬉しい。年齢制限も所得制限も何もない、誰もが対象だ。にもかかわらず、進まないのはなぜか。このコロナ禍で、正直それどころではない、と思う国民も多いことだろう。さらにマイナンバーカードへの不安感がいまだ払拭できないという人も多いに違いない。つい先日も3月から健康保険証としてマイナンバーカードが利用できるようになる予定だったが、データの誤入力などが多発し、本格運用は10月からに延期されたばかりだ。
それでも失敗と決めつけるのはまだ早いかもしれない。2020年に経済産業省が実施した「キャッシュレス・ポイント還元事業」は事業をきっかけにキャッシュレス決済が広く普及し、成功だったと言えるだろう。キャッシュレス事業者もお得なキャンペーンを次々に打ち出し、普及の一翼を担った。ポイントに惹かれキャッシュレス決済を選ぶ人が多かった。
もしもさらにマイナポイントが大幅にポイント付与されれば、まだまだポイントを求めて発行する人も増えてくることだろう。今回の事業を打ち出してもいまだ過半数にも満たないマイナンバーカードの普及率、目標を達成するために今後はさらなるポイント付与が打ち出される可能性も否定できない。まだ申請していない人は、いま申請すべきかさらなるポイント付与に期待して様子を窺うべきか。しっかりと見極めながら、申請のタイミングを図っていただきたい。
参照元:マイナポイント、対象となる申請期限が変わりました【マイナポイント事業】