4月に入り東京、大阪、京都、兵庫を対象に出された3回目となる「緊急事態宣言」。街から人が消えた1回目の様子は記憶に新しい。しかし、今回の発令でみなさんの周りの様子はどうだろう。1回目に比べて「慣れ」が出ているのではないだろうか。今回は、この人々の緊急事態宣言への慣れが数字として見て取れる、ある調査結果を紹介する。緊急事態宣言は形式化されはじめている?
3回目の緊急事態宣言!街はいまどんな様子?
4月25日から、東京、大阪、京都、兵庫を対象に「緊急事態宣言」が出された。2020年4月、2021年1月に続き、今回が3回目となる緊急事態宣言。外出の自粛や、飲食店の時短営業や休業要請、イベントやスポーツの無観客開催の要請など、生活に大きな影響を与える。加えて今回は飲食店の「酒類の提供終日停止」や東京都においては、20時以降のイルミネーションやネオン看板の消灯を要請するなど、今まで以上に徹底した対策が取られている。
しかし、初めてとなった1年前の宣言が出た際と比べて、街の人通りはとても多く見える。同時に、飲食店での酒類の提供停止に伴う路上飲酒の増加なども連日ニュースを賑わせている。多くの人達にとって緊急事態宣言は、「またか…」という感覚になってしまっているのではないだろうか。今回ある指標からも、緊急事態宣言の影響の鈍化について浮き彫りになってきた。
「トランザクション・メディア・ネットワークス」は「2021年1月~3月のキャッシュレス決済の市場動向」を発表した。その内容から人々の電子マネー利用実績を見ていくと、1月の緊急事態宣言の対象地域とその他の地域を比較して、電子マネーの利用状況に大きな差がないことが判明した。少なくとも消費という観点から見て、「うちは緊急事態宣言が出たから買い物の頻度を下げよう」といった動きが少なかったことが見て取れる。
詳細を見てみると、スーパーマーケットは第4四半期の前年比146%。ドラッグストアも122%となり、むしろコロナ禍になり消費が上向いていることが分かる。どちらも日用品の購入には欠かせない店舗となっており、「買い物の自粛」という点は行われていなさそうだ。ホテルやアミューズメント施設などは、さすがに1月以降大きく減少を見せたものの、それ以降回復傾向にあり、人々の外出の意欲が今とても高まっていることが分かった。
全体としての消費の好調さ、スーパーなどの購買の影響力の少なさ、レジャー施設の回復の兆しを見る限り、人々は緊急事態宣言、そしてコロナ禍に少しずつ「慣れ」が生じてしまっていると言っていいだろう。
今回の調査結果、好調な店舗に比べて、対照的に「書店・CD/DVD」については増減を繰り返しており不調な様子。自宅時間の強い味方となる書籍や映像コンテンツが不調なのは意外である。昨年の書籍は好調な売れ行きを見せていただけに、もはや外出自粛に伴う「巣ごもり」という感覚自体が過去のものとなりつつあるのかもしれない。
参照元:緊急事態宣言の影響が鈍化 電子マネー決済データから判明【ITmediaビジネスONLINE】