「PayPayマネー」残高上限の減額に至った、資金決算法の改正とはなに?

QRコード決済サービスの「PayPay」は6月1日より、「PayPayマネー」の残高上限額を500万円から100万円へと減額する。PayPayマネーとは、本人確認後に銀行口座をはじめ、セブン銀行ATM、ローソン銀行ATMからチャージ、もしくはヤフオク!やPayPayフリマの売上金を利用し、PayPayにチャージした現金として出金可能な残高のこと。100万円を超えるPayPayマネー残高を保有しているアカウント(ユーザー)は、同日以降PayPayの決済に関わるサービスを利用できなくなる可能性がある。

「PayPayマネー」残高上限の減額はユーザーのため?

政府はキャッシュレス決済、給与のデジタル払いなどの普及促進をしているわりには、ここにきて制限をかけるなど、キャッシュレス先進国への道はほど遠いかもしれない

 今回の減額について、PayPayは「より安心してサービスをご利用いただくため」とホームページ上で説明している。だが、これだけでは減額することとサービスとの関連が見えないため、疑問を感じる方も多いのではないだろうか。
 実はこの変更には、資金決算法の改正と、それにまつわる政令・内閣府令案が5月1日付で施行されたことが大いに関係するようだ。というのも改正法令では、資金移動業者(銀行以外で送金サービスを提供する登録事業者のこと)を以下のように細分化された。
●第一種:認可制で取引金額に上限はないが、より厳格な滞留規制(ここではユーザーが残高として保持できることに対する規制)が課される。
●第二種:登録制で取引金額は100万円まで(これが従来)。
●第三種:登録制で取引金額は5万円まで。
 つまりPayPayマネーで100万円を超える資金を扱うには、PayPayは第一種として登録しなければならないのだ(第二種との重複も可能)。さらに改正法令の規定により、100万円を超える残高をもつユーザーは、サービスの利便性を享受しきれなくなってしまう。そこで、ユーザーの利便性を踏まえ、PayPayはPayPayマネーの残高の上限を100万円へと減額したようだ。
 ちなみに、資金移動業者は2020年12月時点で80社に上り、PayPayのほか、LINEの「LINE Pay」などが知られる。

PayPay銀行ではPayPayへのチャージがリアルタイムでできたり、PayPayマネーの出金が手数料無料でできるなど、様々な連携機能がある。またキャッシュカードなしで、セブン-イレブンのATMから現金の入出金が可能となる「スマホATM」などがある(筆者撮影)

 PayPayは、100万円以上のPayPayマネー残高を保有しているユーザーに対し5月31日までに残高を100万円以下にするよう呼びかけている。マネー残高の減算方法は、買い物での利用と、設定している払い出し口座(銀行口座)へ出金すればいいのだが、PayPayの支払いでは、PayPayマネー以外のPayPay残高(PayPayボーナスライト、PayPayボーナス、PayPayマネーライト)が優先され、PayPayマネーは最後に使われるので注意したい。またPayPay銀行以外の金融機関への出金の際には手数料として100円がかかる。

 余談だが、政府はスマートフォンの決済アプリに賃金を振り込む「給与のデジタル払い」を解禁すると発表している。実現すれば、給与が振り込まれ銀行口座などからチャージするといった手間が省けるため、これを機会にPayPay銀行に口座を設けておくのもいいだろう。しかし今後もしPayPayまで給与振り込み先に含まれるとなったら、100万円以下という制限がかけられているのはデメリットにしかならないだろう。まだまだキャッシュレス決済は現金決済を超える日は遠いのかもしれない。

 6月1日以降に残高が100万円を超えていた場合、PayPayでの決済、送金、出金ができなくなる。利用を再開するには、PayPayカスタマーサポート窓口に連絡した上で、本人確認の手続きなど1カ月以上かかる可能性があるため、早めに対応しておこう。

参照元:「PayPayマネー」の残高上限が500万円から100万円に“減額” 6月1日以降【ITmedia Mobile

オトナライフ編集部
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