フリマアプリのメルカリが、今夏にも人口知能(AI)を使った独自の与信審査を本格導入することが判明した。メルカリは売上金などが利用できるスマホ決済サービス「メルペイ」を展開しているが、メルペイアプリを使用して利用代金を翌月払いできる「メルペイスマート払い」も提供している。
今回の与信審査を導入することで、これまで30万円が上限だった与信枠を引き上げる見込み。アプリ内の商品購入はもちろん、コンビニからネットショップまで、多くのお店で使えて便利なメルペイだが、気軽に使えるあまり、いつの間にか借金が膨れ上がっている……という羽目に陥るかもしれない。
発送の素早さなどメルカリ上の行動が与信判断に影響!?
今年4月に施行された「改正割賦販売法」により、AIやビッグデータを使った与信審査が全面的に解禁。割賦販売とはいわゆる分割払いを使った販売方法のことで、買い手は代金を2カ月以上にわたって何回かに分けて支払う。与信審査でのAIの本格活用はメルカリが初とみられており、AIを導入することで代金の支払い状況や商品の発送作業などのメルカリアプリ上の利用実態を分析して、これまで以上に自由に与信枠を設定することができる。つまり、商品の支払いや発送作業を素早く行えば「しっかりしている人、信用できる人」ということになり、信用力評価が上がって与信枠の上限が引き上がる可能性があるのだ。
これまでは信用情報機関と連携して、年収や預貯金、債務のデータを把握したうえで、法律で定められた計算式により与信枠が決められていた。3月に行われたメルペイによる調査では、メルペイスマート払いの認知・利用率は10~20代の間で高いと発表されたばかりで、今回のAI導入はクレジットカードを持たない学生や、審査で不利になりがちなフリーランスなどをターゲットにしているとみられている。
ただし、大学生の約4割はクレカ未保有で、金融リテラシーが十分に行き渡っていない可能性もある。メルペイで表示される金額は「不用品を売って得たもの」という感覚が強く、決済への心理的ハードルは低い。また、売ることを前提とした商品購入をする若年層も多く、そういった人々は手元に現金がなくても買うことをためらわない。その感覚のまま、引き上げられた与信枠でスマート払いを多用したら……地獄への第一歩となることは、想像がたやすいだろう。
AIによる与信審査が導入されるメルペイスマート払いでは、翌月払いなら手数料無料で利用できるが、清算期限を過ぎる場合や、リボ払いと同じように毎月支払う金額を一定にする「定額払い」にした場合も手数料が発生する。スマート払いとはいっても、内情は「借金」のこと。多額の借金に苦しむ人も、最初は少額の借入だったというのはよくある話だ。また、日本ではAIによって信用力を決める仕組みが不透明だと懸念する声も。考えてみれば、“素早い発送をする人”が“支払い能力のある人”とイコールであるといえる要素はどこにもないのは明らかだ。いずれにせよ、一歩間違えれば借金地獄へ足を踏み入れてしまう可能性があることは心に留めておきたいものだ。
参考元:メルカリAI使い信用評価利用実績分析し限度額決定、今夏にも【SankeiBiz】
※サムネイル画像(Image:about.mercari.com)