読者の方々が「“高給取り”のイメージの職業」と聞いてどんな職業を思い浮かべるだろうか。いくつか連想したもののひとつに、“国会議員”が入っているのではないだろうか。国会議員は年収2,000万円以上、ボーナスに当たる期末手当を抜いた月額でも給与(歳費)は130万円を超えるという。
では、国会議員より一段身近な、私たちの住む市区町村の議員であればどうだろうか?今回は、公式に発表されている市区町村議会の議員の給与について、金額のランキングをお伝え行きたい。
政令指定都市の議員平均は78.6万円
全国市議会議長会および全国町村議会議長会の発表する「市議会議員定数・報酬に関する調査結果:令和2年12月31日現在」と「町村議会実態調査結果の概要」によれば、市議会議員の平均報酬月額は議員で42.0万円(議長51.5万円、副議長45.5万円)。町村議会では議員が213,902円(議長290,598円、副議長235,661円)と報告されている。やはり町や村よりも、規模の大きな市のほうが給与も高い傾向にあることがわかった。
さらに市議会のほうを深掘りすると、特別区(東京23区)では通常の議員でも平均60.8万円(議長91.6万円、副議長78.6万円)。全国に20ある指定都市(政令指定都市)にいたっては議員平均で78.6万円、議長であれば94.8万円、副議長も85.6万円と、町村議会平均の3倍を優に超える金額だ。“平均”でこれであれば、果たして最も高い地域ではいくらになるのだろうか…。
先述の指定都市20市の中で議員給与のトップ5を見ていくと、第5位は広島県広島市と北海道札幌市が86.0万円で並んだ。ちなみに広島市は議長106.0万円、副議長93.0万円、札幌市は議長104.0万円、副議長95.0万円だ。続いても2市が3位タイとなり福岡県の福岡市・北九州市が88.0万円で並んだ(福岡市議長106.0万円、副議長97.0万円、北九州市議長109.0万円、副議長98.0万円)。そして惜しくも(?)2位となったのは兵庫県神戸市だ。議員給与は93.0万円(議長114.0万円、副議長104.0万円)でついに月額90万円台へと突入していった。
そして指定都市トップとなったのは神奈川県横浜市で、議員給与は95.3万円を記録した。議長ともなると117.9万円だというから恐れ入る(副議長は106.1万円)。さすが377万人の人口(2021年8月1日現在)を擁する大都市と言えるだろう。ちなみに特別区(東京23区)は意外にも高い水準の区はなく、前述の通り全体として議員給与は60万円前後、最も高い江戸川区でも議員給与は62.1万円(議長95.6万円、副議長80.7万円)だった。
日本の市区町村議会の中には最大で毎月117.9万円もの給与を得ている人もいるらしい。一般人の月給が25~30万円前後と仮定すれば4倍前後の金額を得ていることになる。
しかしこれをうらやましいと思うか否かは人それぞれではないだろうか。ちなみに筆者はあまりうらやましいと思わない側だ。常に一般人とは比較にならないレベルのプレッシャーを周囲から受け続けながら働き続けるのであれば、常識的なプレッシャーの範囲内で日々仕事をこなしていきたい。
参照元:市議会議員定数・報酬に関する調査結果:令和2年12月31日現在【全国市議会議長会】
参照元:町村議会実態調査結果の概要【全国町村議会議長会】