みなさんはどれくらい貯蓄しているだろうか。「今は働いているから大丈夫」と現在の貯蓄額で不便を感じていないかもしれないが、貯蓄はいざというときにこそ必要となってくるもの。リタイア後の老後生活では、年金以外の生活費を貯蓄で賄わなければならない。50代になれば、自然と老後のための貯蓄を意識しだすだろう。今回は、金融広報中央委員会が行った「令和2年 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]」をもとに、老後が気になる50代の貯蓄事情を伝える。
50代貯蓄額の目安は800万円!?
同調査によると、金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)の平均値は1,684万円、中央値は800万円となった。年収が数億にもなる億万長者や逆に極端に低い世帯のような、極端な数値に影響を受けやすい平均値に比べ、数値を順に並べて真ん中に位置する中央値の方がリアルな50代の金額といえるだろう。平均値と中央値だけでもかなりの差が開き、世帯によって貯蓄額に格差があることが伺える。
詳しく見てみると、金融資産を保有していない世帯を含む50代・二人以上世帯の金融資産保有額では、1,000万円~1,500万円未満と回答した人は、全体の11.7%を占め、最多となった。さらに「金融資産非保有」いわゆる貯蓄ゼロ世帯は回答者のうち13.3%。一方、3,000万円以上の人は13.8%を占めている。2,000~3,000万円未満の貯蓄がある10.8%とあわせると、2,000万円以上の金融資産保有がある人は24.6%にものぼることが分かった。
老後の貯蓄といえば、2019年に話題となった「老後2,000万円問題」も記憶に新しい。金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」のレポートによると、夫が65歳以上で妻が60歳の夫婦のみの無職世帯の場合、年金暮らしでは毎月約5万5,000円が赤字になる計算。夫が95歳、妻が90歳になるまでの30年間は夫婦とも健康であると仮定し、「老後の30年間で約2,000万円が不足する」と報告された。この老後2,000万円問題を機に、老後に不安を覚えたり、現在の貯蓄を見直したりする人も多かったのではないだろうか。
2,000万円という貯蓄額を満たしている世帯が全体の24.6%を占める一方で、50代の全世帯の借入金は平均値729万円、中央値120万円ということが明らかとなった。住宅ローンや教育ローンなどを払い終えているかどうかも貯蓄額に大きく関係しているようだ。いかに借金を減らし、貯蓄を増やすかがあなたの老後生活を左右するだろう。
以上、50代の貯蓄事情を紹介した。現在の貯蓄額が老後生活に響いてくる50代。老後格差で困らないためにも、自分がもらえる年金を把握し、老後のための貯蓄を始めてみてはいかがだろう。
出典元:家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和2年調査結果【知るぽると】