キャッシュレス決済が段々と普及してきた日本。キャッシュレス決済をしている人のなかで、前払いと後払い、どちらの決済を多く利用しているだろうか。実は、欧米の若い世代では、後払い決済(BNPL)の人気が急増しているようだ。しかし、BNPLはお金を使いすぎてしまうという懸念もあるが、果たして人気の理由は何なのだろうか。
今回は金融関係の情報メディアであるビジネス+ITが、欧米の若者にBNPLが人気の理由について記事にした内容を紹介しよう。
手数料なし、利息なし、若者に人気の理由はさまざま!
BNPLが欧米で若年層の人気を獲得している理由は、「クレジットカードのような厳しい審査なしで利用できる」という点にあるようだ。さらにユーザー側にサービスの利用手数料の負担がないことに加え、AIによる与信判断の精度向上などもあり店側としても決済サービスを安心して導入できているようだ。さらに欧米では、BNPLを提供するフィンテックプラットフォームが続々と登場しており、若年層ユーザーの多いSNSでの広告宣伝によって若い世代の間でBNPLユーザーが増えているとのこと。
欧米のなかでも、経済大国・アメリカで人気のBNPLプラットフォームは「Afterpay」。もともとオーストラリアではじまったサービスだが、アメリカを中心に世界的にユーザーを増やしているようだ。Afterpayでは、基本的には4回に支払いを分割することができ、2週間ごとに同額を分割で支払う。利息は設定されていないものの、支払いを滞納すると遅延料が発生する。実は、オンライン決済を手掛ける大手企業のSquareが、Afterpayの買収において調整段階にあることを発表しており、アメリカではBNPLサービスがさらに普及するという予測もあるようだ。
欧米で人気のBNPLが日本にも波及しているようだ。9月8日にPayPalが、BNPLプラットフォームのペイディを提供するPaidy社を、3,000億円で買収することを発表している。ペイディはメールアドレスと携帯電話番号の入力で登録でき、3回の分割に対応している。また、国内のECモールと提携したり、コンビニや銀行での振込での支払いを受け付けたりと、日本に合わせたサービスを展開してきた。PayPalのピーター・ケネバン氏は買収について、「戦略的に重要な市場である日本でのビジネス展開をさらに加速させるために強力な基盤を構築する」とコメントしている。
オーストラリアでは、BNPLの台頭によって、消費者の消費パターンが変化しているようだ。オーストラリア地元紙・ABC NEWSによると、若い世代の間ではクレジットカードからBNPLにシフトしているとのこと。近年冷え込んだ消費行動を促進する期待が寄せられているようだ
一方でBNPLは、収入が少ない人々の過剰消費をどのように抑制し、家計債務の増加を抑えるのかなどの課題が指摘されていることも事実。2020年には「家計債務の増加は経済成長にネガティブな影響を与える」という内容の論文も発表されているという。
今後日本でもBNPLサービスが普及してきた場合には、私たちもプラスの面とマイナスの面、両方をしっかり認識して適切に利用するようにしていきたいものだ。
参照元:BNPL(後払い)が若者に大人気のワケ、過剰消費か景気刺激か?歴史を見ればわかる答え【FinTech Journal】