2021年11月1日から、いよいよ新しい500円硬貨が登場する。令和3年度は2億枚が発行される予定なので徐々に流通量が増加していき、いずれアナタの手元にも届くことだろう。しかし、キャッシュレス全盛の現在でも、やはり新500円硬貨は必要なのだろうか? そこで今回は、新500円硬貨がどうして新しく発行されたのか、その理由を解説したいと思う。
どうして21年ぶりに新しい500円硬貨が登場したのか?
アナタは2021年11月1日に新しい500円硬貨が登場することはご存じだろうか? 本来、新500円硬貨の導入は2021年上半期の予定であったが、新型コロナウイルスの影響を受けて11月に延期されていたのだ。
それにしても、日本ではここ数年で一気にキャッシュレス化が進んだため、今では外出時にスマホだけで財布を持ち歩かない人も増えてきた。そんな時代にどうして500円硬貨が新しく発行されることになったのだろうか?
その理由はズバリ“偽造対策”である。500円硬貨は1982年に初代が発行されて以来、2000年に2代目が発行されており、現行の500円硬貨は3代目となる。この2代目が登場した理由もやはり偽造対策だったのだ。実は世界的に見ても500円の高額な硬貨は非常に珍しく、偽造されるとその被害が大きくなってしまうのである。
もちろん、キャッシュレスが進んだ現在でも、意外と医療機関やローカルなスーパー、個人商店などでは、現金しか使えないことも多いし、地震や災害で停電になったり、スマホのバッテリーが切れたときなどは、やはり現金の出番となる。とくに500円硬貨は自動販売機や駅の券売機などでの利用率も高く、現在流通している500円硬貨は約50億枚。新500円硬貨は、2022年3月までに約2億枚も発行される見込みなのだ。
新500円硬貨には最新の偽造防止技術がてんこ盛り!
新500円硬貨には、最新の偽造防止技術がたくさん投入されている。まずは「バイカラー・クラッド」技術だ。これは、2種類の金属板を挟んだ「クラッド技術」でできた円盤を、別の金属から作ったリングにはめ込む「バイカラー技術」を組み合わせたもの。単一素材ではなく、3つの素材を複雑に組み合わせた特殊な構造となっているため、偽造しにくくなるのだ。
2つ目は硬貨の縁のギザギザの変更である。現行500円硬貨では同一方向に斜めのギザギザが刻まれているが、新500円硬貨では一部が異なる形状になっており、大量生産される通常貨幣としては世界初の技術となる。
ほかにも、転写による偽造を防ぐ技術もたくさん盛り込まれている。たとえば、表面の縁に微細文字で「500YEN」と「JAPAN」が刻印されていたり、硬貨を傾けたときに見える隠し文字「潜像」が、新500円硬貨では上から見たときに「JAPAN」、下から見ると「500YEN」の文字が現れるようになっているのだ。
新500円硬貨はATMや駅の券売機などですぐに使えるの?
さまざまな偽造防止技術を盛り込んだ新500円硬貨だが、11月の発行と同時にATMや自動販売機などですぐに使えるのだろうか?
財務省によると、新500円硬貨の登場時期が遅れたのは、新型コロナウイルスの影響でATMや駅の券売機などの対応作業が遅れたためであった。しかし、その後ATMや券売機の改修が7~9割ほど進んだことを受けて、ようやく11月に発行されることになったのだ。ただし、古い自動販売機などは一部対応していない可能性もあるので、しばらくは注意したほうがいいだろう。
ちなみに、11月に新500円硬貨が登場したからといって、現行の500円硬貨がすぐに使えなくなってしまうことはない。実は、最近ほとんど見かけなくった初代500円硬貨は今でも通用力を有しているのだ。
新500円硬貨と現行500円硬貨が完全に入れ替わるまでには、かなりの時間がかかるため、しばらくは新旧500円硬貨が入り混じった状態が続くだろう。
●財務省「解説!新しい500円貨」(公式)は→こちら
※サムネイル画像(Image:mof.go.jp)