QRコード決済サービス最大手の「PayPay」が、2021年9月末時点のサービス登録者数などを発表した。登録者数は4,200万人を超え、加盟店数は344万ヶ所超と、生活のいたるところでPayPayを利用できる現状を明らかにしている。
しかしPayPayといえば10月1日から店舗の利用手数料の有料化が始まり、この有料化を機に離脱する店舗が出てくることは必至。果たして離脱を防ぐ手立てはあるのだろうか…。
PayPayの2021年度上期実績が発表される
PayPay株式会社は10月20日、PayPayの2021年度上期の実績を発表した。「登録者数」は4,200万人を突破し、「加盟店数」も344万カ所超。2021年度上期の「決済回数」はなんと16億回(月平均2.6億回超)を上回ったという。
■登録者数の推移
■加盟店数の推移
■決済回数の推移
1日およそ900万回も決済に利用されているサービスという事実は、QRコード決済の“絶対王者”であることを改めて印象付ける数字と言えるかもしれない。
また、同発表では「2021年度上半期のPayPayの取り組み」も紹介。PayPayを利用して電気・ガス・水道などの公共料金が支払える「PayPay請求書払い」が全国の自治体約3分の2に対応したこと、ユーザーが安心安全に利用できるための「不正利用対策」の強化などが伝えられている。
とくに不正利用対策では、2021年4~6月の期間のPayPayの不正発生率が0.00086%であったことを公表。参考として示された同時期のクレジットカードの不正発生率0.04784%と50倍以上の差があることを明らかにし、PayPayの安全性を強調している。
たしかに企業としては、4~9月で上期が締まり半年間の成果を世間に公表するのは当然のことだ。しかしこれまで右肩上がりだった加盟店数のグラフも、10月の手数料有料化によって伸びが鈍化、もしくは減少傾向が明らかになる可能性も否定できない。
事実、MMD研究所が10月8日に発表したデータによれば、PayPay加盟店のうち無料期間内での解約の意向があった店舗は21.8%にのぼったという。また、「どちらとも言えない」という店舗も41.2%となり、全体の半数…とまではいかないが30%程度の離脱はあり得ない話ではないと言えそうだ。
また、「加盟店数344万カ所超」と言っても、タクシーをカウントしていたり、様々な決済サービスが利用できるコンビニなども含まれている。加盟店の総数以上に、小さな町の個人商店など「こんなお店でもPayPay使えるの!?」という浸透ぶりが強みのひとつだったとも言えるPayPayだが、今後個人店の離脱が続けば、「どこでも使える便利な決済サービス」から「ユーザー数の多い、数ある決済サービスのひとつ」にランクダウンしてしまう可能性も否定できない。
当然PayPayとしても離脱の加速を防ぐため、「3%振り込みますキャンペーン」といった店舗への還元キャンペーンなどの施策は続けている。はたしてこの対抗策は実を結ぶことができるのだろうか。成果は年度末など今後の発表で示される加盟店数のグラフが、「上向き」になるか「下向き」になるか、はたまた「横ばい」となるかで判明するだろう。
出典元:「PayPay」が実施した主な取り組みと、それに伴う主要指標の推移について(2021年度上期)【PayPay】
※サムネイル画像(Image:paypay.ne.jp)