経済危機が訪れても価格の下落が小さい金(ゴールド)投資は、株式や債券への投資に対するリスクヘッジとして最適だ。2000年代初頭、金の価格は1gあたり1000円前後で推移していたが、2018年12月現在では約4900円前後。ゆるやかに価格が上昇し続けているので積み立て投資に最適であるともいえる。ここではそんな金投資を詳しくみていこう。
配当金が出ない代わりに経済動向に強い
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そもそも金は希少価値が高く、かつ形があるので、価値がゼロになってしまうリスクは少ない。それこそ地球や宇宙の他の惑星などから無尽蔵に産出されない限り、価値の大幅な下落は考えにくい。しかも金の価値は世界共通であり、経済危機が起こった場合には金の価値が相対的に上がる可能性がある。株式や債券の価値が下がったときのリスクヘッジとして使えるのだ。
経済危機が起こって株式や債券の価値が下がるのを「信用リスク」という。株式や債券の価値が下がるのは、それらを発行する企業や国の信用が失われているときと考えられるためだ。一方、金は物なので、信用リスクを被らない。そのため、リスクヘッジになるのだと知っておいてほしい。
ただし、金を保有しているだけでは配当金を得ることはできず、価格が上下するので元本割れをするリスクがある。価格が上下する原因は金の需要と供給のバランスによるものだ。上で説明したように、どこかの国で経済危機が訪れた場合などは価格が上がりやすいし、そもそも商品としての需要が高まれば価格も上がりやすくなる。ちなみに、金は価格の変動幅が為替や株式に比べて小さく、短期間での大きなリターンを期待することができないので、長期の積み立て投資に向いているといえる。
引用元:Yahoo!ファイナンス
金価格(青)と日経平均(赤)との比較。日経平均が下落している時でも価格変化が少ないことがわかる。金価格は実物の金ではなく金のインデックスに連動するETFを参考にした
実際の積み立てはネット証券が最適
SBI証券での金積み立ての例。定額積立(金額指定)と定量積立(グラム指定)の積立ができる。買付と売却価格に差があるが、FX取引で言う「スプレッド」と同じで売買手数料には含まれない隠れた手数料である
金の購入というと「田中貴金属工業」や「三菱マテリアル」といった貴金属を専門に扱う業者を想像しがちだ。もちろんこれらの業者で購入しても良いのだが、できるだけ手数料を安くして、かつ他の金融商品との残高の状況をまとめて管理したい。そこでおすすめできるのは「ネット証券」での積み立てだ。
SBI証券、楽天証券、マネックス証券では月額1000円から積立投資ができるようになっている。手数料はSBI証券が2.16%、楽天証券とマネックス証券が2.7%(いずれも税込み)なので、投資信託を購入するよりも0.5~1%程度高い印象を持つ。しかし、他の業者に比べて年会費がかからないし、他の金融商品を同じ証券会社で購入すれば資産のポートフォリオの一つとしてまとめられる点がよい。もし金投資をするのにポートフォリオ中でどのくらいの割合含めたらよいか悩んだら、20%から30%程度含めておくとよい。可能なら、投資している他の金融商品の値が上がって含み益が出ているときに投資割合を増やし、信用リスクに備えるというのもよい。
金投資の使い方は「信用リスク」のヘッジのためだ、というのをぜひ理解しておいてほしい。それに加えて、他の金融商品と同等なものとして扱うためにネット証券で投資するのが最適だ。手数料率が高めに見えるが、ネット証券だと実物の金の保管手数料がかからない。経済危機が訪れたときに慌てないための手段として、金投資を検討してみてほしい。
●SBI証券は→こちら
●楽天証券は→こちら
●マネックス証券は→こちら