ワンチャン、リア充、ググる……。普段耳にするこれらの言葉は「ネットスラング」と呼ばれるインターネット上でのコミュニケーションが発祥と言われている。若者ならまだしも、青年世代となると初めて耳にした時には違和感があっても、意味を端的に表しており、知らず知らずのうちに使用している人もいるのではないか。新たな定番語候補が続々と生まれているネット界隈で、徐々に存在感を増している言葉がある。
「限界オタク」を知っているのは30%、正しく理解しているのはさらに少なく……
じわじわと浸透しつつあるネット界隈の新語というのは「限界オタク」。その意味は、「自身の恥ずかしい・痛々しい言動を自虐すること」であり、例としては「推しが夏の新ドラマに出演することを知って、カフェで大声を出して喜んだ私は『限界オタク』だな」といった使われ方をする。推し活が幅広い世代で親しまれ、人生のエネルギーとして没頭する人がいる現代においては、「限界オタク」はぴったりの言葉だ。人目を気にしがちな人にとっては、我にかえった自身を慰める使い勝手の良さもある。
「限界オタク」の浸透状況を調査した結果がある。Webマーケティング支援事業などを展開するSheepDogが7月13日に発表したもので、全国の20歳~59歳の男女300人を対象に言葉の認知度や意味の理解度を調査している。同社は「限界オタク」について、もともとはネガティブな意味で使われることが多かったが、オタク文化の定着とともにポジティブな言葉として様々なシーンで使われるようになっているといい、自分自身の痛々しい言動を自虐する時、感情が昂りすぎている状態の2通りの意味で使われるのが一般的だと説明する。
「限界オタク」の認知度では、69.5%が「知らない」と回答し大半が言葉そのものを認知していない結果となった。知っている層でも「なんとなく知っている」は20%、「正しく意味を理解している」のは10.5%と、社会的にはまだまだ途上段階のようだ。
限界オタクや蛙化現象……。正しく意味を理解しないと赤っ恥?
「限界オタク」はネガティブな意味からポジティブ方向に移り変わった経緯がある。つまり、昔から知っている人でも現在の意味を知らなければコミュニケーションに不具合がでてしまう。最近では「蛙化現象」が世間的にも話題になった。もとは心理学用語で「好意を寄せていた人が振り向いてくれた瞬間に嫌悪感を抱く現象」を表すものだが、若者を中心に現代社会では「相手の恥ずかしい言動がきっかけで気持ちが冷めてしまう現象」として用いられている。時代の移ろいとともに言葉の意味が変化するのが日本語の特徴なだけに、その変遷にも注目して正しく使いたい。