「AIチャットくん」開発者はChatGPTをどう使っている? オススメの使い方と意外な開発秘話とは

何かと話題の対話型AIチャットツールの「ChatGPT」。現在はスマホ用アプリも登場していますが、このChatGPTをスマホのLINEアプリで手軽に利用できるようにしたのが「AIチャットくん」です。そこで今回は、AIチャットくんを開発した株式会社piconの代表山口翔誠さんにインタビューしたので、ChatGPTのオススメな使い方や驚くべき開発秘話などを紹介しましょう。

LINEで使えるお手軽ChatGPT「AIチャットくん」とは?

現在では、スマホアプリでも利用できる大規模言語モデルのAIチャット「ChatGPT」ですが、スマホのLINEでいち早くChatGPTを使えるようにしたのが「AIチャットくん」です。

AIチャットくんは誰でも無料で利用でき、使い慣れたLINEで質問するだけでいいので、初心者にはピッタリなアプリ。

開発したのは株式会社piconという会社ですが、現在では、OpenAIが開発した生成AI「StableDiffusion」をLINEで手軽に利用できる「AIイラストくん」も開発するなど、注目を集めています。

それにしても、いったいどのような経緯でAIチャットくんやAIイラストくんを開発したのでしょうか? 

そこで、今回は株式会社piconの代表、山口翔誠さんに開発当時の話を伺ったところ、そこには驚くべき開発秘話が隠されていました。

●株式会社picon(公式)は→こちら
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●「AIイラストくん」公式サイトは→こちら
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こちらが株式会社piconの代表「山口翔誠」さんAIチャットくんの開発秘話や、ChatGPTについていろいろな話を伺った(写真は株式会社picon提供)

株式会社piconは2016年に設立されたスマホ向けアプリやWebサービスの開発・運営を行う会社。LINEで手軽にChatGPTを利用できる「AIチャットくん」や、イラストが自動生成ができる「AIイラストくん」を手掛けて注目されている(写真はpicon公式サイトより転載)

作ったきっかけは母親の年代でも使えること

−−まずは「AIチャットくん」を開発したきっかけを教えてください。

山口翔誠(以下、山口):ChatGPTが登場したときに、この技術はとても画期的で便利な機能だなと思いました。今後、仕事やプライベートを大きく変えていくでしょう。

しかし、Webブラウザでのサービスでは、使い勝手は良くはないと感じました。もし、自分の母親が使うと考えると、おそらく使えないと思います。

そこで、自分の母親でも簡単に使えるようにしたいと思って、AIチャットくんを作ることにしました。

−−確かにLINEなら、どの年代でも使いこなしていますね。

山口:そうですね。あれほど多くの日本人が使っているアプリは他にないと思います。

ChatGPTはアイデア出しや愚痴を聞いてもらう相手には最適です!

−−それでは、ChatGPTのオススメの使い方について伺いたいのですが、まずビジネスではどのように使っていますか?

山口:メールの例文や挨拶などによく使っています。おかげでメールの書き始めに悩むことがなくなりました。

あとは、企画のアイデア出しに使うと非常に便利ですね。気になることがあればすぐ聞いてみます。ビジネスに繋がる企画に落とし込むために、いろいろな質問をChatGPTに聞いて反応を見ています。

−−ChatGPTはとにかく何か答えようとしてくれますからね。

山口:人間相手に聞いていたら、きっとこんなにうまくはいかないですから……。

−−プライベートでオススメのChatGPTの使い方はありますか?

山口:誰にも話せない悩み相談をしてみるのがオススメですね。絶対に秘密はバレないですし、何を話しても答えてくれますから。

たとえは悪いですけど、“不倫の愚痴”とか相談すると、ChatGPTから正論で返されるみたいですよ(笑)。

−−愚痴を聞いてもらえるのはいいですね。電話みたいに話せると長時間語ってしまいそうです。

山口:あっ、そのアイデアはいいですね! 確かに音声での受け答えは面白そうです。

AIイラストくんは「おじさん」の絵を描くのが不得意?

−−「AIイラストくん」も開発されていますが、こちらはどのように利用すればいいですか?

山口:AIイラストくんについては、広告やWebのバナー広告などに気軽に使えるといいかなと思っています。

−−マンガ家さんのなかには、背景用にAIイラストを使う人もいるようですね。

山口:あくまで、サポートとして使ってもらえればこれほど便利なものはないですからねぇ。

あと、AIイラストくんで面白かったのが、モデルさんみたいにキレイな人物は得意なのですが、普通の“おじさん”とか“おばさん”は意外と不得意なんですよ(笑)。

−−それはやっぱり、キレイなモデルさんを中心に学習させているからですか?

山口:おそらくそうだと思います。実際、「おじさん」でイラストを作るとあんまりおじさんっぽくなくて、このあたりはまだ発展途上だなと思います。

「海釣りをしている太ったおじさん」で生成されたAIイラスト。太った要素もおじさん要素もありませんでした

こちらは「スーパーに買い物に行く自転車に乗った太ったおじさん」で生成されたイラストです。おじさんではなく青年といったイメージのイラストが出力されました

将来、AIが人間の仕事を奪うって本当なの?

−−それでは最後に、今後AIに取って代わられる仕事には、どのようなものがあるとお考えですか?

山口:AIが得意な分野は確実に伸びていくでしょうね。とくにデータ分析はAIのほうが強いです。

ですから、コンサルではいかにAIでデータを的確に扱えるかが勝負になるかと思います。あとは、AIを優秀な部下にして作業をやってもらうような使い方が便利だと思いますね。

−−逆にAIにあまり任せられないような仕事はありますか?

山口:単純に肉体を使う仕事はまだまだ無理でしょうね。工事や建築は人がいないとできません。それと職人系ですね。大量生産の手助けは可能でしょうが、職人の焼き物とかは価値がありますので……。

−−よくAIが人間の仕事を奪うと言われますが、それについてはどうお考えですか?

山口:私自身はそうは思っていなくて、将来的には共存していくのかなと思います。最終的な決定権は人間が持って、AIはアシスタントとして単純作業を行う方向になるでしょう。

−−確かに、車の自動運転の分野では事故が発生したときの責任問題はまだまだ未解決です。

山口:最終的な決定権をAIに任せていいのか? という話になってしまうので、それはまだまだ先の話でしょう。

−−AIイラストについても、とても便利なのですが著作権の問題もあります。

山口:AIの発展スピードが速すぎて、法律やルールが追いついていないと感じますね。そのあたりは海外のほうが動きが早いので、そこから今後の動向を探るしかないと思います。

−−ありがとうございました。

まとめ

いかがでしょうか? AIチャットくんの開発には、ChatGPTを母親でも使えるようにしたいという山口さんの熱い思いがありました。

また、今後のAIについては人間側も便利な使い方を模索し、AIが得意なジャンルは任せて、役立つ優秀な部下にするような使い方ができれば、AIとの共存も可能でしょう。

なお、このインタビューは、2023年7月31日発売のメディアソフト「わかる! 使える! Chat GPT超入門 (MSムック) ムック」のページから抜粋したものです。

ChatGPTをこれから初めて使ってみたい人、もっとうまく使いこなしたい人向けの本なので、ぜひ参考にしてみてください。

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すずきあきら
編集・ライター。パソコン通信時代からネットワークに接しWi-Fiやインターネット、SNSなどに精通。30年に渡って、パソコンやスマホ関連のムック本や雑誌記事を手がけてきた大ベテラン。最近は格安SIMなどのケータイ料金やアプリ、通信費全般の記事を執筆することが多い。

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