「飾らない自分」を友だちとシェアできる写真共有SNS「BeReal(ビーリアル)」。日経新聞の報道では利用者が1年で10倍に増加したとのことで、実際、街中や電車の車内などでビーリアルを楽しんでいる10代を目にしたことがある人もいるのでは?
このビーリアル、少なくとも筆者が把握している限りでは認知度にかなり世代差がありそうです。10代の知人に話を聞くと「マストのアプリ」、30代以上に話を聞くと「名前しか聞いたことがない」か「全く知らない」といったケースが多いです。
そこでこの記事では、結局ビーリアルは何が楽しい写真共有SNSなのか解説します。
ビーリアルはZ世代にどういう使い方をされている?
「BeReal(ビーリアル)」の最大の特徴は「写真加工不可」かつ「2分以内に自分もビーリアルを投稿しないと、他の友だちの投稿も見られない」SNSである点です。
つまり「通知が来たらすぐに写真を撮影しなければいけない」「投稿しないと好きな子の投稿も見られない」という点が、ビーリアルの盛り上がりを生んでいる最大のポイント。
ビーリアルは1日1回、ランダムな時間にアプリから通知が届き、基本的に通知から2分以内に背面カメラと全面カメラで1枚ずつ、計2枚写真を撮影する必要があります。面倒な制限のようにも思えますが、そういったハードルがあるおかげで友だちや好きな子が「いまどのように過ごしているか」をリアルに知ることのできるツールとして使われています。
筆者が実際にZ世代のビーリアルの男性ユーザーに話を聞いたところ「女子の投稿が見たいから使っている」「自分の写真を投稿するときはカメラを指で押さえて撮影している」という意見も。
つまり「自分を魅せたい」という使い方ではなく、「他の人の日常を垣間見たい」という理由で使っている人もいるようです。
ビーリアルとTikTokはZ世代にとって何がどう違う?
「TikTok」もZ世代の使っているSNSの代表格のひとつですが、Z世代にとっては大きくビーリアルと用途が違います。TikTokはZ世代にとっては、楽曲やダンス、アイドル、ゲームなど流行の発信源に近いです。
ちなみに先に筆者が話を聞いたビーリアルユーザーの方は、書籍やゲーム、ドラマ、映画などは大抵、TikTokをまずチェックするそう。ショート動画での解説や切り抜きなどがないか見て、面白そうならTikTok上でさらに続きを探し、ゲーム実況などはエンディングまで切り抜きだけで見ることも珍しくないとのことでした。
一方でビーリアルは、トレンドをチェックするものというよりは「友だちや好きな子のリアルな日常を垣間見るもの」です。
通知が来たら2分以内に投稿するという決まりもあるため、情報収集などに適するような凝った投稿も行いにくいのです。TikTokに比べると、情報収集目的というよりは「制限時間内で投稿して、投稿したら他の人の投稿という報酬がもらえる」というゲーム感覚で使っているユーザーが多いと言えるでしょう。
ビーリアルの問題点
Z世代の間でビーリアルがリアルな日常が共有できるゲーム感覚のSNSとして盛り上がっている一方、「盛らない」「加工できない」「制限時間がある」点は問題点にもなり得ます。たとえば従来ならば加工したうえで投稿していたような「写真内に映り込んだ個人情報」などを、急いで投稿する分、消し損じてしまうこともあるでしょう。
たとえ個人情報が映り込んでも、あくまでリアルの友人間で利用する分には大きな問題にはならないかもしれません。しかしビーリアルではオンライン上で他の人とビーリアルを交換できる「BeMatch.」もリリースしており、こちらも人気を博しています。
今後は「クラスの女の子の投稿が見たい」というニーズ以上に「オンライン上で知り合った、リアルでは知らない相手がいま何をしているか見たい」というニーズが拡大していく可能性が大きいです。
個人情報の映り込みへの注意など「投稿すべきことと、投稿しないべきこと」の線引きは今後課題となり得るのではないでしょうか。
位置情報にも要注意
「個人情報の映り込み」と同様に「位置情報」にも注意が必要です。ビーリアルはデフォルトで位置情報がオンになっているため、撮影した場所を閲覧者に共有可能。しかしそれが原因で自宅の場所がバレてしまうなど、トラブルに繋がることもあります。
特にリアルの友人ではなく、オンラインで繋がった相手に対して位置情報が表示されてしまった場合は一定の危険性があるでしょう。リスクを避けるためには、位置情報は「OFF」にするのが良いでしょう。