X/Twitterはオワコン?「ツイッターはおしまい」は事実か、さまざまな面から考察

X/Twitterについて「正直、オワコンじゃないか」と内心、思う方は実は少なくないのでは?たとえば2024年3月にはお笑いコンビ「ラランド」のサーヤさんが、コンビのYouTubeチャンネルに出演し「ツイッターはおしまい」「Xに世論はない」と発言したことが話題に。

X/Twitterはオワコン?「ツイッターはおしまい」は事実か、ユーザー数を考察1(Emil Kazaryan / Shutterstock.com)

とはいえ、国内ではまだまだ主要SNSとして存在感がある「X」。たとえば、Xの代替SNSとして注目された「Threads」への関心がひと段落し、XがThreadsを上回る状態が続いていることは、「Xがいまだに力がある」ことの証拠の1つではないでしょうか。

本当にXは「オワコン」なのでしょうか?今回は、他のSNSとのユーザー数を比較しながら、X/Twitterはオワコンなのかを解説していきます。

結論から言えば、Xは「想像以上に健闘している」一方で、Instagramを逆転する規模に発展するのは難しそうです。このような背景を受け、イーロン・マスク氏が提唱する「スーパーアプリ化」へと舵を切っていると見られます。

X/Twitterは本当にオワコン?

まず、X/Twitterがオワコンと言われがちな理由の1つに「Xへの名称変更」(2023年)が挙げられるでしょう。Xという匿名性が高いプラットフォーム名は、SNSの名称として根付かないのではないかという見方がありました。しかし、少なくとも筆者が調べた限りでは「X」の名称は想像以上に定着していると思われます。

たとえばGoogleトレンド(国内)で「X」と「インスタ」の検索人気度を比較してみると、名称変更された2023年7月頃は「インスタ」の人気度の方が上回っていました。しかし、半年以上かけて「X」の検索人気度はじわじわと上昇し、2024年4月頃に「インスタ」と逆転しています。

X/Twitterは本当にオワコン?1

「X」と「インスタ」の人気度比較は日本を対象としたものですが、「すべての国」を対象に「X」と「Instagram」を比較してもほぼ同じ傾向が見られます。つまり、国内外問わず「X」と「Instagram」の検索人気度には差がない状態か、むしろXが上回る状態になっていそうです。

ちなみに、「ツイッター」と「インスタ」の検索人気度(国内)は過去5年間、互角の状態が続いていました。そして、2024年7月現在「X」が「インスタ」を抜いている以上、検索人気度の面から見ると、Xへの名称変更は「失敗」とは言い切れません。

ではXの月間ユーザー数はどれくらい?インスタと比較

Xの公式発表によると、2024年3月時点で月間のユーザー数は5億5,000万人とのこと。しかし、米Sensor Towerの調査では2022年11月と2024年2月で比較すると、1日あたりのユーザー数は23%減少しているとのデータも存在しています。

結局、Xのユーザー数は多いのか少ないのか、公式データや調査機関のデータだけだとよく分からない感があります。

そこでウェブサイト分析に用いられる「SpyMetrics」を用いて、ブラウザ版(※アプリ版を含まない。アプリの月間ダウンロード数やアクティブユーザー数などは考慮していません)の5月の推定訪問数を算出してみました。なお比較対象としてブラウザ版「Instagram」の訪問数も確認しています。

まずTwitterが「x.com」にリダイレクトされたのは、2024年5月半ばです。よって5月の訪問数を確認するには「twitter.com」「x.com」双方のユーザー数をチェックする必要があります。

ブラウザ版「X/Twitter」とブラウザ版「Instagram」の比較1

まずtwitter.comは4.34B。「B」はビリオンを表し、10億を意味します。よってリダイレクト前の5月半ばまでで43億セッションとなります。そしてx.comは2.68B。およそ27億セッションとなり、両者を合わせると約70億セッションと見られます。1名が10ページ以上平均で見ていると推測されるため、ユーザー数としては「5億~7億人」ほどがいると推測されます。よってXのユーザー数が5億5000万人(※公式発表)というのは、法螺(ほら)ではなく正確な値ではないかと思われます。

ブラウザ版「X/Twitter」とブラウザ版「Instagram」の比較2

そして、instagram.comは7.29BB。同じくBは10億を意味するため、およそ72億セッションと推定され、TwitterとXの合計値と差がありません。ブラウザ版のインスタとXを比較する限りだと、Xが「オワコン」とはあまり言えない状態です。

X/Twitterは意外に健闘している?それでも「オワコン」と指摘されがちな理由

このように検索での人気度やブラウザ版のセッション数などを見てみると、意外と「X」は健闘しているように感じられます。

ブラウザ版の推定値からうかがい知れる範囲内では、あまりInstagramと差がありませんし、青い鳥が消えた後にブラウザ版のXのユーザー数が激減したようにも見えません。

それでも「オワコン」という声が少なからず囁かれるのは、やはり「アプリ版」の動きが大きいでしょう。先ほど述べた推定値にはアプリ版の数値が含まれていません。

そしてXのアプリ版の状況は、やはり芳しくないとは言えそうです。

API有料化:アプリ版の状況は決して良くなさそう

Webアプリとして見ればXは決して悪い状態ではないですが、モバイルアプリとしては差が大きいです。まず一般的にInstagramのユーザー数はグローバルで「20億人ほど」と言われています。Xのユーザー数を5億5000万人(※公式数値)とした場合、両者のユーザー数には4倍の差があります。

この4倍から5倍の差はブラウザ版では生じていないため、やはり差があるのは「アプリ」。筆者が外部のアプリ分析ツールでチェックした限りでも、両者のデイリーアクティブユーザー数には4倍ほどの差がありそうです。

アプリ版の状況があまり良くない要因の1つには、APIの有料化が挙げられるでしょう。X(旧Twitter)は2023年3月30日にAPIの有料化を発表。これにより、既存のサードパーティー製アプリやツールが次々終了。そのため、サードパーティ製クライアントでX(旧Twitter)を利用している人は離れていくことになりました。

API有料化:アプリ版の状況は決して良くなさそう

たとえば国内の人気Twitterクライアントには「feather for Twitter」がありましたが、API有料化を受けて2024年7月現在、配信停止されています。なお後継アプリとしてはMastodon アプリ「feather for Mastodon」が配信されており、ユーザーがX以外のSNSに流れたとは言えそうです。

XがAPIを非常に高額な価格帯で有料化したことは「ブラウザ版ユーザーの離反」は招かなかったものの、「アプリ版ユーザーの離反」を招いた可能性がありそうです。

Instagramとのユーザー数の差を埋めるほど、Xのモバイルアプリが爆発的な人気を呼んでいるという傾向も特に見受けられないため「XのモバイルアプリがInstagramをすぐすぐに抜く」のは2024年7月現在、あまり現実的ではないかもしれません。

インプレゾンビの誕生

2023年7月にXがクリエイター向けの広告収益分配プログラムを開始した結果、閲覧数によって収益が与えられるようになり、いわゆる「インプレゾンビ」が誕生しました。

インプレゾンビはトレンドワードに反応して意味のないポストを連投したり、話題のポストに無意味な返信をつけたりするユーザーのこと。インプレゾンビにより、Xのタイムラインの質が落ちた側面はあるでしょう。

インプレゾンビの誕生

インプレゾンビの大量発生によって「Xがユーザーから見放された状態にあるか」は2024年7月現在、なんとも言えない点です。少なくとも筆者が調べた限り、名称変更後のXは基本的には想像以上に健闘しており、思ったほど「オワコン」とは言えない様子のためです。

ただしインプレゾンビを嫌うユーザーはかなり多数存在しており、タイムラインの品質保持という面では対策が求められるでしょう。タイムラインの質の悪化が続くと、段階的に離脱するユーザーは増えるかもしれません。

X/Twitterは今後どうなる?

モバイルアプリ版では苦戦傾向が見られるX/Twitter。とはいえブラウザ版ではInstagramと比較してもかなり善戦しており、想像以上に健闘していると言っても良いのではないでしょうか。

「オワコン」という声は文字通りの「オワコン」というより、なじみ深いTwitterのサービスが大きく変わっていくことへのユーザーの悲しみの現れだと言えるのかもしれません。

そんなXは、今後はスーパーアプリ化に向けて舵を切ると思われます。具体的には2023年10月、米The Vergeが「イーロン・マスク氏が今後Xを金融中心のアプリとする方向性を従業員に漏らした」と報じました。

Xでは個人間送金サービスを2024年内に開始予定であり、全米14州で送金に関する免許も取得済みと報じられています。日本での送金サービスの実施時期はまだ不明ですが、将来的なサービス展開が期待されます。

※サムネイル画像(Image:Ascannio / Shutterstock.com)

オトナライフ編集部
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